第70話

「遂に来るべき日が来たね」

「ご迷惑を掛けてすみません」

「暖ちゃんのせいじゃないよ。寂しくなるね」

暖希がさくら荘を出て行く日が来た。

みんなで細やかに送別会をした。

3年という月日は長いようで短かった。

「暖ちゃん、辛い事があったらいつでも来ていいからね。無理はしちゃダメよ」

大家が心配気な眼差しを向ける。

「ありがとうございます」

暖は胸の中がホッコリ温かくなるのを感じていた。

「此処は暖ちゃんの家なんだからね」


こうして暖希はみんなに見送られて、

塩井の車に乗った。

3年10ヶ月のさくら荘での日々だった。

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