第53話

「真ちゃん、それ、脈あるかもしれないよ」

泉野がそう言った瞬間に、長谷部は泉野の胸ぐらを掴む勢いで声を上げた。

「それ、本当か⁈」

「だって真ちゃんにだけお茶を淹れたわけだろう?」

「それは俺が給湯室を覗いたから…… 」

「俺もそう思うな。脈ありだと思う」

瑤も続いた。

「真ちゃん。もう一度彼女をデートに誘ってみたら?」

暖希も言った。

「でもまた上手く行かなかったら…… 」

「でも好きなんだろう?彼女の事」

泉野の目は真剣だ。

長谷部は黙って頷いた。

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