第3話 夢の理由

「なあ、なんか俺も手伝うよ」

「いいよいいよ、私これからここに住ませてもらう訳だしこれくらい」

「でもな国民的アイドルに料理を任せてふんぞり返ってテレビ見るのも辛いんだ」


テレビでは他の局がまた彼女の一時引退についてのことについて様々なことを考察して語り始めなんだか気まずくて慌ててチャンネルを変える。

さっきスマホの方でネットの情報を見ると彼女の一時引退には他の理由があるのではないか、とゆう見方が強いらしいが真相は本人のみぞ知る所だ。


そんな等の本人は鼻歌まじりにポニーテールを揺らしてご機嫌ににんじんを切っていく。


「でもカレーだからあと煮込むだけしか仕事が残ってないんだよね」

「そこをなんとか」

「無いものはないでーす。それに林也君は普段料理とかしないよね?」

「なぜばれた・・・」

「キレイな台所とゴミ箱にはレトルト食品の数々、おまけに来た時洗い物を乾かしてる様子がなかったし」

「その通りだついつい面倒くさくてな、殆ど外食かインスタントばっかりだ」


遊ぶのと趣味の時間に夢中でついつい作るのが面倒くさくて、真面目に作っていたのはここに越してきてから3日目あたりまでだろう。


「これくらいは林也君のご両親もそんな感じじゃないか、って言ってたから想定内だったけどね」


あきれながら笑ってこちらを見る彼女はスムーズにどんどん作業を進めていく。

アイドルもやっていながら家事も全般できるってスペックすごいな、いったいどこにそんな時間があるんだ?


「なんか他に作れる料理はあるのか?」

「基本なんでも作れるよ、オムライスとか親子丼とか野菜炒めとか」

「俺も見習わないとな。今度俺にも料理を教えて欲しい」

「じゃあこんど簡単なのから作ってみようか、ふるーちゃとか」

「あれって料理って呼んでいいのか、俺ってそんな料理下手なイメージ!?」

「まあまあ、まずは基礎からだよね」

「基礎ってゆうか牛乳と液体混ぜるのに基礎もないだろ!」

「ちなみに牛乳はどれくらい入れる?」

「だいたいの感でいれる」

「うん、やっぱりふるーちゃからだね」

「いやでも流石にそれは」

「ね」


有無を言わさない彼女の眼光はそれ以外の答えを許さなかった。


「はい」

「じゃあそろそろご飯よそって欲しいかな」

「おっけー」


戸棚から皿を2つ取りご飯を盛り付けルーを入れていく、具がたくさん入っていて匂いも香ばしく実に今から楽しみだ。幼馴染てづくりとゆう時点で100杯は余裕でいけるくらいおいしいのだが。

カレーを机に並べ2人向かい会うように並べ手をあわせる。


「いただきます」


だれかと一緒にここで手料理を食べる日が来るなんて想像してなかったな、それも空と一緒にてべれるなんて。

未だに目の前に彼女がいるのが信じられない、彼女はもう僕の手の届かない遠い存在で会うことも会話することも、ましてや一緒に食事することも、もう出来ないとおもっていた。


「カレー私の顔についてる?」

「いやごめん、そうゆう訳じゃないんだ。ただこうしてまた一緒にご飯食べれるなんて思ってなかったからさ」

「じゃあ私と一緒にごはん食べれてうれしいんだ」

「うん、嬉しいよ」


アイドル相手に下手に誤魔化すくらいなら堂々としていた方がいいだろう。


「私もうれしい」


その笑顔におもわずドキッとする。

これ以上この手の話題は危険だと判断しいそいで話題を変える為カレーを食べる。


「上手いな、レトルトのカレーより断然うまい!」

「お世辞はいいよ」

「いや、お世辞とかじゃなくてまじで美味い。これから空の飯が毎日食べれるとか最高だな」


風味とゆうかコクがレトルトとは違いなんだか味に深みがある。


「たしかに隠し味とかはいれてるけど」

「へー何入れてるの?」

「愛情・・・とか?」

「あっそうゆうの良いんで」

「ちょっと、もうちょっと反応してよ!」


内心めちゃくちゃ反応してるよ!お前さえこの場に居なければ俺は限界オタクと化して奇声をあげてそこらへん飛び回ってるわ。


「にしても良く料理なんて出来るな、アイドル活動とか学校とかで忙しいだろ」

「確かに忙しかったね、学校はそうゆう学科の所にいたからある程度緩かったけど売れ始めてからは本当に休みなんてなかったしね」

「じゃあ料理なんてする時間ましてや無かったんじゃないか?」

「そこはほら移動中に動画とか本とか見ておいて、無理やり時間作ってやってたかな」

「時間って作れるの?」

「寝なきゃ作れるよ♡」


彼女の顔は笑っているが目はまるで笑っていない。


「そこまでして料理がしたかったのか、好きなんだな料理が」

「まあね。そんなに美味しいって言って貰えるなら頑張ってたかいがあったかな」

「おう、めちゃくちゃ美味いぞ」


空と食べるご飯だから余計になのかもしれない。

二人に時間の溝なんて無かったかのように、楽しい時間がながれる。


だから思わずにはいられなかったし聞かずにはいられなかった。

ずっと彼女に空に聞きたかった質問をする。


「空はなんでアイドルになったんだ?」







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