第20話

「ーーーーーーーー…パパ、この桜の木と私の名前の由来と関係があるの?」


娘は靖春の袖を引っ張る。




「ココの言葉からサエの名前を付けたんだよ」




「えっ!?」


靖春の言葉に娘は驚く。






「いつも、どんな時でも笑顔を咲かせられる子になって欲しいってーーーーーーーー…この『咲笑(サエ)』って名前を付けたんだよ」


靖春は咲笑の頭を撫でながら微笑んで言った。




「私の名前にそんな理由があったなんて何だか嬉しいな」


納得した咲笑は満面の笑みで言った。








「さぁ、帰ろうか」


靖春は手を差し出す。




「うん」


娘は靖春の手を重ねた。






その瞬間ーーーーーーーー…




後ろから風が吹いた




温かくて




優しく




そして何よりーーーーーーーー…




懐かしかった






靖春は足を止めて、振り返った。






「パパーーーーーーーー…どうしたの?」


咲笑は不思議そうな顔で靖春の顔を覗く。




「…いや、何でもないよ」

(ーーーーーーーー…まさか……そんなワケないか)


靖春は咲笑の頭を撫でると、手を握って車に向かって足を進めた。








ーーーーーーーー…フワァ




車に乗る直前、また風が吹いた。




『ありがと』


そう言われた気がした。



















『このサクラみたいに笑顔を咲かせるーーーーーーーー美桜』


『いつか大切な人を守れるようにーーーーーーーーチビハル』




靖春と美桜ーーーーーーーーー…




二人の刻んだ約束は永遠に色褪せない……






きっとーーーーーーーー…










きっとーーーーーーーー…











ーーーーーーーーーーENDーーーーーーーーーー

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