第五章
「今日、どこに行こうかな・・・」
スマホを見つめながら頭の中をぐるぐると回転させる
「いや・・・今日は久しぶりに適当に走ろっかなぁ」
「今日一日ぐらいゆったりした時間にしよう」
俺はバイクにのりドライブをしようとエンジンをかけた
(ん?)
さあ行くぞ!っと思った矢先
(あーガソリンがない・・・なぁ)
バイクの画面にはメーターが「あと少しでガソリンがなくなるぞー」とお知らせしてくれている
そういえば昨日めんどくさくなってガソリンの補充を明日の俺・・・
あー・・・今日の俺に丸投げしたんだっけぇ?
すっかり忘れてた
「てことは、ドライブする前にまずはガソリンスタンドかー」
最近は物価高の影響でガソリンが高い・・・。
俺はガソリンを入れ、走り出す
今日は快晴で空気も温かい
絶好のドライブ日和だ
のんびりとした時間が心地いい
俺は今までにあった出来事を無意識に思い返していた
俺の一番の幸運は生まれたときを最後に小中高と不運なことが続き、
その不運体質は社会人になっても現役で活動中。
面接に合格したときは
「やっと幸運なことが・・・!!」
と、心底喜んだが裏を返せば夢を見ていた学生から夢を壊された社畜へと降格
長い事会社の都合の良い歯車にされた
俺の中にいる不幸体質クン?
元気に活動してないでさっさと引退してほしいんだけど?
多分良いことはあったはずと思い出の引き出しを漁っていると
ひまわり畑が見えてきた
「こんなところにひまわり畑があったのか」
鮮やかな黄色のひまわりが美しい
俺はバイクを止め、しばらくひまわりを眺めることにした
ひまわりのそばには旗が刺さっており
そこには「花の里 みやがわ」と書いてある
都会ではなかなか花畑を見ることができないから新鮮だ
俺はバイクに戻り、ドライブを再開させる
ひまわり畑に寄り道ができてとても満足だ
ホカホカした感情に浸っていると手元が左右に震えだした
「・・・ッ!?」
俺は一気にパニックになる
脳内でただ焦りだけが大きくなっていく中、
少し残っている理性が「どうすればいいか?」
という問の答えを出すために素早く働く
バイクの免許を取る前に教えてもらった気もするが、
パニックになっている頭では思い出そうとしても
焦りという感情に塗りつぶされて頭が回らない
どうにかできないかと考えていると道の端に畑が目に映った
とっさにハンドルを大きく回して大きな畑に落ちた
自分の状態やバイクの状態を確認する
幸い大きな怪我はなく打撲程度だろうか?
体の所々が痛む
バイクも傷が入ったぐらいで壊れたということはなさそうだ
いつもの俺なら骨の1、2本ぐらい折れてそう
(やった!ラッキーなことが起こったぞ!)
内心喜んでいる俺のそばに車が停まる
俺が畑に落ちたのを見ていたのだろう
なにかできることはないかと気遣ってくれたとか
俺の状態を確認しようとしたとか多分そんな感じ
車からは女性が降りてきた
歳は・・・40代ぐらいか?
とても心配そうな顔をしている
俺は「大丈夫ですよ。怪我はほとんどありません。」
と自分の状態を伝えた。
すると「良かった」と安堵したようだった
だがすぐに真剣な顔になって
「でも、病院にはいかんと!」
と言い、スマホを取り出して・・・
(まさか・・・救急車を呼ぼうとしているのか!?)
(治療費は馬鹿にならんし・・・!今救急車有料化進んでるから入院しないと金取られる!打撲程度じゃ絶対入院しないって!)
「ちょっ・・・ちょっと待ってください!」
「救急車呼ばなくていいですから!」
「でも!怪我してるかも知れないじゃない!」
「もし骨折でもしていたらどうするの!?」
「バイクも動かしたら危ないかもしれんやん!」
「でっでも・・・!」
「けが人は大人しく動かずに待ってればいいの!」
と、俺の話はフル無視で救急車を呼んだ。
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