第四章
エンゼルラインに行った翌日…
俺はさらに北方面へとバイクを走らせていた。
どうやら内外海という地名らしい
(宿泊先の人に聞いたら周りには自然しかないと言っていたが……)
今朝聞いたことを思い出しながら港がある道を走っていた。
昨日も通ったが、空気が美味しいところだ。
そんな事を考えていたら昨日の分かれ道へとたどり着いた。
昨日は左に曲がったが、今日はそのまま直進した。
風を切っている感覚がとても気持ちいい。
トンネルをいくつか抜け、目的地の一つであるブルーパーク阿納というところに来た。
ここではどうやら魚さばき体験や、梅ジュースなどを作ることができるらしい。
残念ながら今回は何も申し込んでいないので何もできないのだが……
今回の目的の一つは近くにある海だ。
近くの民宿に宿を取り、荷物をいくつか預けた俺は、海の方へと向かった。
(涼しいなぁ……)
そんな事を考えている俺は今、海の近くにあるブロックに座っていた。
(こうして何も考えずにいると気分が楽でいいなぁ)
そんな事を考えながらボーーーーっとしているといつの間にか10分の時間が過ぎていた。
「今日は休憩しようかな」
今日はもう一つ訪れる予定だったが、時間があるので明日にすることにした。
そして俺は民宿に戻り、夕食を食べ、さっさと寝ることにした。
ー翌日ー
民宿を出た俺はバイクに乗り、山沿いの道を通り、トンネルを通っていた。
いくつかトンネルを抜けた俺はこんなことを思った。
(なんか動物出てきそうだなーー)
幸い鹿にも熊にも猪にも遭遇しなかったので、功を奏したようだ。
帰りに遭遇しないことを願っておこう。
「ようやくついた……」
途中何度も転けそうになったがそこは気合で乗り切った。
しかし疲れは溜まるので、走った時間は短いがとても疲れてしまったのだ。
朝に買ったお茶を飲み、一息ついた俺は道の隅にバイクを止め
ある場所に向けて歩き出した。
「ここから見えるのか」
数分歩いて目的の光景を見つけた俺はその景色の壮大さに驚愕した。
俺の目の前に広がるのは段々と連なる田んぼ……いわゆる棚田と言われるものだ。
やはり写真で見るのとはひと味もふた味も違う。
(自然だなあ……)
安直な感想だが心から思ったのだからしょうがない。
久しぶりに自然が美しいということを実感したのだった。
「ここは静かでいいなぁ」
もちろんいい意味である。
昨日行った安納とはまた違った雰囲気が漂っている
そう感じさせるのはやはり廃校や神社の影響だろう。
海の方には釣りをしている人もチラホラと見かける。
「俺もしたかったなあーーーーー」
静かな海で優雅に釣り……最高だろ
そんなことを思っていても道具がないので今回は諦めることにした。
(次に海の近く来たら絶対やろう)
密かに決心した俺だった。
(そろそろ街の方に戻るか)
まだ日は落ちきっていないので今から帰れば日没までに間に合うだろう。
安全第一をモットーとしている俺としては
暗い道をバイクで走るなどどいう危険な行為はしたくない
「ガサガサっ……」
なんの音だろう。
例えるなら…そう動物がいきなり飛び出してくるような…
「プギッッッッ!!」
バイクのライトで照らされているヤツは、猪だった。
(今一番会いたくないやつじゃないか…)
さて、俺は今どうすればいいのだろう?
このまま猛スピードで振り切れるか?
しかし、ガソリンもあまりないのでたくさん使いすぎると帰れなくなるだろう。
(あいつが目を反らした隙に行くしかないな…)
そう思っていた矢先、猪が一瞬他の方向を向いた。
俺はエンジンを精一杯蒸し、奴の横を通り過ぎることに成功した。
しかし…
「痛ってえ…」
どうやら猪の横を通ったとき、少しかすったようだった。
幸い、奴は本気の走りではなかったためおそらく捻挫したんだと思う。
(まあ骨が折れることが最悪だったし数日休めばなんとかなるだろ)
今は足の痛みよりもあたり一面真っ暗な山道を無事に抜けれるかが一番重要だ。
(帰ったらさっさと寝よう…)
そうして俺の短いようで長い内外海を巡る旅は終わった。
ちなみに…
長年の不幸によるものか捻挫は2日で治ったのだった。
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