恋愛 短編集

藍色の星 みり

1, 遠くに居ても

『今日もお疲れ様、ゆっくり休んでね、セレナ』


私には、ネットから始まって遠距離恋愛している彼氏がいる。付き合い始めてからかれこれ半年が経って、お互い休みの時は新幹線に乗って会いに行っている。

まあ、一ヶ月に一回も会えないんだけどね。

ちなみにセレナというのは私のネットでの活動名ね、本名じゃないから。


『ありがと、みなと』

『いきなり本名で読んでくるのは卑怯じゃない!?』

『しりませ〜ん』


こうやって何気ないことにも反応してくれるし、仕事が終わるくらいの時間にいつも連絡をくれる。時間が空いてたら通話もする。


「改めてお疲れ様だよ、月乃つきの

「ちょっと!、本名呼ぶの恥ずかしいじゃん!」

「さっきのおかえしだよ〜」


普段は活動名で呼び合ってるから、たまに飛んでくる本名の火力がすごい。


「にしても今日は帰るの遅かったみたいだね、なにかあったの?」

「それがね…」


今日は会社でアクシデントが起こって、その対応に追われた結果、帰る時間が大幅に遅れてしまったというわけだ。


「残って頑張ってたんだね、偉い偉い、よしよし」

「私目の前にいないから撫でられないし、子供じゃないんだけど…でも、ありがと」


本当はとっても嬉しいけど、恥ずかしいから言わない。


「最近こっちも忙しくて…次あった時、いっぱいぎゅってしていい?」


このやりとり見ればわかってくれると思うけど…彼氏めっちゃ可愛い、一生愛でていたい、だけどたまにすごくかっこよくなるからギャップがすごい、好き。


「私もぎゅってしたいし、いいよ」

「やった〜、そうと決まったら、明日からまた仕事頑張ってみる〜」

「気合入ってるね〜」

「だってだって、仕事終わらせて休み取れたらそっちに行けるんだよ?、会えるんだよ?、楽しみにするに決まってるじゃん!」

「ありがとね、じゃ頑張って〜」

「そっちもね」


そうして通話は終わった。

自分は声に出してなかったと思うけど、本当は会いたくて会いたくてたまらない、ずっといっしょに居たい。いつかあっちに引っ越して、同じ家で暮らして…あーもー、大好き。

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