第3話

姉ちゃんが家を出て行った後、兄貴の方を見ると、腕で顔を覆ってた。



それを見て、何かを悟った俺はボロボロと涙が溢れ出した。歯を食いしばっても、止まらなかった。



大好きだった姉ちゃんが、どこかへ行ってしまったんだと、気付いた。





姉ちゃんが居なくなってから、みんな暫くは元気がなかった。



でも。



「奈実ときっとまた会える。俺は、何年経とうが、待ってる」



千穂が俺の頭を撫でながらそう言ったから、俺もそう思う事にした。



冬が終わり、また春が来て、夏が来て、秋がきて。



時が流れて。



中学を卒業した時、千穂から姉ちゃんの話を聞いた。



ありえねぇ話だけど、でも、兄貴が10年前に貰ったiPhoneをずっと肌身離さず持っていたから。全てに納得した。

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