姉ちゃんは馬鹿で、兄貴とよく喧嘩してて。

俺はいつもその光景を横目に鼻で笑ってた。

姉ちゃんはどこか不思議で。人を惹きつける何かを持っていた。

誰にも言った事ないけど、実は姉ちゃんが俺の初恋の人だったりする。

馬鹿だけど優しくて、綺麗で。一緒に居ると楽しくて。

俺ん家、親もいなくて兄貴だけだったから。姉ちゃんが来てから、家も明るくなった。

「ゆずちゃーん、葉くーん！迎えに来たよー！」

「待ってて、カバン取ってくるから！」

姉ちゃんが、幼稚園に迎えに来てくれる時はいつも嬉しくて。胸がくすぐったくもなってた。

あの頃の俺は、ガキだったから何もわかってなかった。

ずっと、姉ちゃんは一緒に居るんだと思ってた。

「姉ちゃん…」

姉ちゃんが居なくなった日。

俺とゆずは姉ちゃんが淋しげに笑うから、不安で姉ちゃんに一生懸命しがみついた。

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