サンタからの素敵な贈り物

夏目 漱一郎

第1話 サンタクロース

 皆さんは『サンタクロース』を見た事があるでしょうか?


 子供の頃、お父さんが扮していたとか 街でプラカード掲げていたなんてのは駄目ですよ。


をです。


 実は……こんな言い伝えがあるのをご存知でしょうか。



『サンタクロースは、本当にピュアな心を持った者の前にだけ現れる』



 じゃあ、私はピュアでは無いのか! なんて不機嫌にならないで下さいね。


 大抵の人間は、本物のサンタクロースを見る事は出来ないのですから……


 近年社会問題にもなりつつある、男女間、世代間の断絶。差別。誹謗中傷。


 若年者による闇バイトの問題……


 その原因とも言える、収入格差問題……


 そして、それらの解決をしてくれる筈の政治家は裏金使い放題であてにはならい。



 こんな世の中に生まれ育つうちに、人間は本当にピュアな心というものを必然的に持たないようになってしまったのです。


 本当にピュアな心の持ち主というのは、東大卒の数なんかよりも圧倒的に少ないのですから、あなたがサンタクロースを見てなくても無理の無い事です。



 そんな訳で、今やサンタクロースの仕事は昔に比べ、随分楽になりました。


 現在のサンタクロースは、第60代目になります。


 齢240歳のこのサンタは、今年のクリスマスを終えたあとに『定年』を迎えます。



 サンタクロースの定年は240歳……神様から退、その後は後身にその任を引き継いで年金生活に入ります。







「いよいよ、明日が最後のお勤めじゃ……そういえば去年はインフルエンザにかかって苦労したのぅ……」



 今年のクリスマスが定年前の最後の仕事になるサンタは、いつもよりも気合いを入れて『ソリ』を磨く。




 ソリを磨いた後は、ピュアな心を持つ子供達へのプレゼントの準備。



 クリスマス前は最高に忙しいのだ……



「ヤレヤレ……これでひととおりの準備は終わったわい……当日は徹夜になるから、 今のうちに少し寝ておくとするか。」




 サンタは、赤いパジャマに着替えて本番まで仮眠を取る事にした。準備に張り切り過ぎたサンタは、疲れが溜まっていたのかベッドに入るとすぐに熟睡してしまった。




 ZZZ……  zzz……














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