第12話

城内の廊下を進むにつれ、次第に静寂が増していった。

時折、どこからともなく耳をつんざくような悲鳴や、

金属がぶつかる音が響いてくる。(気がする。)


その音は、まるでこの城に生きる者たちの怨念のようで、

私たちの背筋を冷たくさせた。


「何かが、待っている気配がする……」


私は小さくつぶやいた。

前回、この場所に足を踏み入れたときは周りを見回す余裕すらなかった。

目の前の戦いに全神経を注いでいて、周囲の状況を感じ取ることさえできなかった。

しかし、今は違う。

恐怖を抱えながらも、冷静に周囲の様子を観察することができていた。


しばらく進むと、目の前に大きな扉が現れた。

装飾は美しいが、どこか不気味な雰囲気を醸し出している。

恐る恐るその扉を押すと、軋む音を立てて開いた。


扉の向こうには、広大な大広間が広がっていた。

高い天井には、魔王の象徴である巨大なシンボルが描かれており、

中心には黒い玉座が鎮座している。そこに、魔王がいるのだろうか?


「気をつけて。何が起こるかわからないから」


ユカリの言葉を思い出し、私たちは慎重に一歩ずつ進む。


その時、玉座の前に一人の少女が立っていた。

彼女は可愛らしい外見で、華やかな衣装を身にまとっていた。

その姿は一見すると無邪気さを漂わせていたが、

冷たい目で私たちを見下ろしている。


「やっと来たか、勇者たちよ。君たちは、四天王を知っているのか?」


少女の声はそれなりに低いが、軽々しかった。


「僕の名前はずんだもんなのだ!魔王が新たに作った組織の四天王の1人なのだ!」

「魔王の手下か!」


レンが叫んだ。

「私たちは、お前を倒して魔王を討伐する!」


ずんだもんは冷たく笑った。


「前回来た時のことを覚えていかいのか?君の仲間は魔王『ミク』様にほとんど殺されたのだ。今回はミクに手を煩わせる事なく、僕が君たちを殺してあげるのだ」


その言葉は、私たちの心を揺さぶった。確かに、私たちの力はまだ足りないかもしれない。しかし、私たちは諦めない。


「私たちには、仲間がいる!一緒に戦う!」


私は自分の気持ちを伝えようと叫んだ。


「さあ、来い。僕が相手をしてやるのだ。ここで敗れれば、魔王もお前たちを許すことはないだろう」


ずんだもんは挑発的な笑みを浮かべ、私たちを待ち構えている。


「くそっ、絶対に負けない!」


レンがを振りかざす。その決意は、私たち全員の心に宿っていた。


「私たちの力を見せてやる!」


リンも魔法の準備を整え、私はドリルをしっかりと握りしめた。


こうして、四天王ずんだもんとの戦いの火蓋が、今切り落とされた…。

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