第11話

-数ヶ月後-


「これで、魔王に挑む準備は万全ね」


私が自信を持って言うと、リンもレンも笑顔を見せる。


「私たちなら、きっと勝てるはず!」


リンが意気込む。


「魔王を倒して、この国を救うんだ!」


レンも決意を新たにする。


「さあ、行きましょう。私が導いてあげる」


ユカリが言い、私たちの先頭を歩く。


こうして、私たちは新たな力を手に入れ、魔王討伐に向けて出発することとなった。心の奥底にある希望が、私たちをさらに強くしていた。


「ユカリさん、私たちが魔王を討伐しに行くとき、一緒に来てくれます?」


私は思い切って尋ねてみた。

彼女は一瞬、考えるような表情を見せたが、すぐに首を横に振った。


「ごめんなさい。私はあなたたちを見守ることができるけれど、直接戦うことはできないの。魔王との戦いで、私は大切なものを失ったから……」


その言葉に、私たちの心には重いものが落ちた。

ユカリの過去は、私たちには想像もつかない苦しみを伴っている。

彼女の痛みを思うと、何も言えなかった。


「でも、あなたたちには強くなってほしい。魔王を討伐するための力を、私が授けるから」


ユカリは微笑み、私たちを励ました。

その言葉に励まされ、私たちは魔王討伐のための準備を続けた。

ユカリの教えを受けながら、私たちは新たな技を磨き、心を一つにしていった。


数日後、私たちは魔王の居城へ向けて出発することとなった。

ユカリは道中、私たちの成長を見守りながら、常にアドバイスをくれた。

彼女の言葉は私たちの心に刻まれ、希望となっていた。


「魔王城までの道のりは険しい。気を引き締めて、行動することが大切だ」


ユカリの言葉が私たちを鼓舞した。

そうして、私たちは新たな力を手に入れ、魔王討伐に向けて出発した。

心の奥底にある希望が、私たちをさらに強くしていた。


緊張感が漂う中、私たちはついに魔王城の前に立っていた。

城は高い石壁で囲まれ、黒い尖塔が空を突き刺すようにそびえている。

その姿はまるで、不吉な影を持つ巨獣のようで、

周囲の空気を凍らせる威圧感があった。


「これが魔王城……」


私の声は震えていたが、仲間はそれぞれの決意を胸に抱き、気を引き締めていた。


「私たちがここまで来たんだ。絶対に負けるわけにはいかない!」


リンが自信を持って言った。その目には、強い光が宿っている。


「お前の言う通りだ。絶対に魔王を倒すんだ!」


レンも頷き、気合を入れて手を握り直す。


「私はここまで来るのがやっと。ごめんなさい、過去を捨てることができなくて」


ユカリは私たちを見つめ、その瞳には懐かしさと悲しみが混じっていた。

彼女は魔王との戦いのトラウマに苦しんでおり、

その影を振り払うことができなかったのだ。


「ユカリさん……」


私が言葉をかけようとしたが、彼女は笑顔を浮かべた。


「私がここにいると、あなたたちの成長が阻まれる。だから、ここで別れるわ。頑張って、必ず魔王を倒してきて」


その言葉に、私たちの心には複雑な思いが広がった。

彼女の意志を尊重することしかできない。

しかし、少しでも彼女の力になりたかった。


「ユカリ、私たちを信じてください。必ず帰ってきます!」


リンが言った。ユカリは小さく頷き、振り返らずにその場を離れていった。


「行こう、みんな。私たちの未来のために!」


私が叫ぶと、仲間たちも一斉に声を上げ、意気揚々と城の中へと踏み出した。

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