第22話
「誰よ、あんた?」
「初めまして、彼の元妻です」
なにその自己紹介。
それに”初めまして”?
「嘘! さっきの幽霊と顔が違うし!」
「幽霊?」
何ヲ言ッテイルノカ分カリマセン。
そんなキョトンとした顔をしてみせる咲羅。
「そもそも何でそこにいるのよ!」
『春沢安奈』が推理ドラマの探偵のような仕草で咲羅を指さす。
「あんた死んだ筈じゃない!」
いや、探偵はこんなことは言わないな。
周囲は騒つく。
当然だ。
「死んだ」とはなかなかインパクトのある言葉。
しかも「死んだはず」とは明らかに何かをやった犯人が罪を明らかにされるときの序章となる台詞。
……と、色々思うところはあるが目下の気になることは1つ。
俺の腕にしがみついて震える咲羅しか気にならない。
「……ひどい。怖いわ、誠さん」
誰だ、これ?
痛っ!
ちょっ、こっそり抓るな!
分かってるよ!
「咲羅、大丈夫だよ」
「でも……」
『よよよ』という効果音を背負いながら咲羅がよろける。
そんな咲羅を俺は支えた。
「夫との熱愛報道を私は我慢したのに……」
咲羅の目に涙が堪る。
「二人のことを熱愛にするために私を悪女と貶めたのも、夫のためだからと我慢したのに……」
溜まった涙が耐えられずに零れる。
「それなのに私に『死ね』だなんて……酷いわ。酷いわ、誠さあん」
いや、本当に誰だよ。
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