第2話 壊された日常
あれは、小学3年生くらいだったか。
授業中に突然、声が出てしまったのだ。
しかも、今まで出したこともなかった「奇声」だった。
「フン!フン!」
「クックック」
など、言葉にしづらい声だ。
突然すぎて、僕は自分の声に驚いていた。
最初は「気のせいか。」と、思ったが徐々に回数と声量が多く、大きくなっていった。
(なんだ?この声?)
頭のなかでは止めようとしているのに声が止まらない
「うるせぇな!!」
授業中にも関わらず、周囲の生徒が大声をあげる。
いきなり、大声を出されたので僕も他の生徒もビクッと驚く。
「お前、さっきからうるせぇんだよ!」
当然の反応だ。授業中にひっきりなしに奇声をあげるのだから。
「ごめん!」
僕は、謝るほかなかった。
僕はその奇声の正体を突き止めるために、母親と病院に向かった。
診断の結果、[チック症]改め、[トゥレット症]ということがわかった。
同時に「自閉症」とも診断され、
医師には、発達障害。と、言われた。
聞いたこともない名前に僕も母親も困惑していた。
調べてみると、トゥレット症とは体が勝手に動いたり、意図せず声を発してしまう障がいということがわかった。
このトゥレット症は、一生付き合うことになる症状。
毎日薬を飲んで抑えるしかないと言われた。
「なんで、僕なんだ・・・」
当時の僕には、心配と悩みに苦しめられ将来のことなんて考える余裕なんてなかった。
ついこの前まで、休み時間の時は外の遊具を使って遊び、図書室で静かに本を読むことが出来ていたのに。
今ではそれすら、できない。
昼休みも一人でいることが多くなり、図書室の前や外の遊具を見るたびに胸の奥が削られる感覚を味わった。
それが、僕の日常が壊された瞬間だった。
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