めざせスローライフ ~キッチンカーでグルメ旅~
某支配人/藤城眞輝/栗華薫
プロローグ
第1話 ここはどこ?
僕のキッチンカーは、
僕が望む場所や、僕を望む人がいる場所に行っての営業ができる。
仕入れだって同じさ。
それはいいとして、ここはどこ?
見渡す限りの草原の向こうに微かに道っぽいものが見える。
ここでじっとしてても何も変わらない。
女神様とも約束したし、僕自身が楽しみたくてしょうがないんだ。
あの道まで歩くのは大変そうだけど、僕ならこのキッチンカーで移動できる。
ここは女神さまのご厚意にしっかりと甘えさせていただこう。
-------------------------------------------------------------------
僕はブラックIT企業で働く社畜だった。
月間稼働は180時間までと聞いていたけど、実際はサビ残120時間超が基本。
誰かと遊んだりするどころか、一人でゲームする時間もままならないくらい。
かろうじて食べることでなんとか持たせていたが、それもほぼ限界になっていた。
終電が無くなってから2時間、やっと今日の稼働が終わった。
こんな時間にオフィス街で開いてる店なんて無いから、隣接の区画まで移動して、飲み屋街の中にあるラーメン屋で一息つくのが最近の定番。
地下鉄もバスも無い時間だが、タクシーに乗れるほどの余力は無い。
ってか、余力があったら喰うのに使う!!
仕方が無いからいつものように歩いて帰る。
2月初頭の寒さに凍えながら、約1時間。
道程の半ばでこれまたいつものように公園のベンチで小休憩してた。
いや疲れが溜まり過ぎて、寒空の下で寝落ちしてたらしい。
目前の女神様?のようなお方が言うには、そのまま心停止(凍死)するところだったっぽい。
女神様の説明では、世界に活力を与える波紋の一つとして、契約の有る別世界から人やモノを時々融通してもらっているとのこと。
んで、今回は死にかけていた僕を救うついでに波紋を作る一石になって欲しいとのお願い。
やりたいことを聞かれたので、美味しいモノを食べたい。
出来るならみんなで食べたい。
女神様から、料理することはできるかと聞かれ、食べ歩き(最近はできてないけど)していろいろと覚えたし、自炊はそこそこしてたからできないことは無いと答えた。
それならってことで色々と提案を受け、こちらからも要望を出しある程度の形になった。
・屋台みたいなもので食事を提供するのは?
⇒ 可能
・他言語理解と多少の強化はつけてあげられます。
⇒ お願いします
・転生して現地改革とかは?
⇒ 赤子には戻りたくないし、技術も知識も無くしたくない。
⇒ なら転移しかないわね。
・技術や道具の提供は?
⇒ 道具などは仕入れが出来れば可能。技術は......できる範囲でなら。
⇒ 十分ね。
・できるなら日本の料理も提供して欲しい。
⇒ 仕入れが出来れば可能。だけど屋台では無理。ガスの火力や冷蔵庫などが無いと不可能。
⇒ だったらどうすれば可能?
⇒ キッチンカーなら出来そう。
⇒ あなたの記憶にはキャンピングカーってのもあるけど?
⇒ 居住ならキャンピングカー、調理ならキッチンカー。
・毎回私が転移させるのは無理だから、そのキッチンカーってのに転移を付与するわ。
⇒ それは助かります。
⇒ じゃあ、出して。付与するから。
⇒ 無理です。今は持ってないしそもそも購入すらしてないんだから。
いろいろな手続きとかあるから1ヶ月位の準備期間ってか、猶予をください。
・仕方がないわね。1ヶ月後に呼び出せるようにマーキングするわよ。
⇒ はい、お願いします。その時にはキッチンカーに乗ってこの公園に来ます。
・今回はそのまま戻すから、絶対にベンチで寝ないこと。死んじゃダメだからね。
⇒ はい。ちゃんと家に戻って準備します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます