愛の重さゆえに
私の両親は昔から私の目を見て
何かを褒めてくれたことが無い。
幼少期から死に物狂いで続けた水泳で
何度大会で表彰されることがあっても
「練習の方がタイムが良かった」
「せっかくなら1位になりなさいよ」
国家試験に合格したと報告した時は
「これからが大変になるんだから」
「さっさと申請しなさいよ」
慣れというのはつくづく怖くなる。
褒められないことが当たり前になるから。
私を褒めない両親に対して憎んだことは無い。
若くして子供を産み育ててる時に
きっとそんな余裕が存在しなかった。
仕方ない。ただそれだけのことなんだ。
しかし、そんな考えとは裏腹に
成長していく私の体のどこかに
『両親に褒められず成長した』
という事実が腫瘍として残り
摘出することが困難なほど大きくなっていた
体に腫瘍を抱えた私への代償は
自分に真っ直ぐ向けられる愛情や好意に
向き合えず恐怖を抱き逃げ続けることだった。
なんとなく気になった人でも
元々友達で仲良かった人でも
どんな人でも相手の目が私を捉え
真っ直ぐに好意を示した時
私はどうしようもなく逃げ出したくなるのだ。
残念な事に私は皆が自然と出来ている
向き合う方法を知らないからだ。
正確にいうと愛を受けとめても
腫瘍が大きくなり過ぎて
しまっておけるスペースが存在しない。
だから、私はいつもこう思う
愛がもっと薄っぺらで限りなく小さいものなら
私の体にも少しはしまっておけるのに。
私の体に対して、愛の重さゆえに
いつか向き会えるそんな日まで ヒラエス @malefi98cent
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