No title
@kfkf1212
第1話
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎年⬛︎月⬛︎日。⬛︎⬛︎⬛︎研究所にて。
(警告。被験体D-001の脱走を隔離研究棟にて確認。戦闘職員は脱走した被験体の鎮圧。非戦闘職員はマニュアル通り鎮圧完了まで安全口への避難を行ってください。繰り返します。…)
研究所内にアラームが響き渡り、一目散に逃げる白衣を身に纏った職員達。その荒波をかき分けて複数の武装した職員が廊下を突き進んでいた。
『今回D-001の脱走が確認された隔離研究棟には⬛︎⬛︎⬛︎博士とその他複数の研究員が取り残されているようだが、我々の優先事項は⬛︎⬛︎⬛︎博士の救出と脱走したD-001の討伐である。心してかかるように。』
先頭の人が他の武装職員に目的と注意事項を連絡していた。先頭の命令に武装職員達は頷き、先頭の指示に従い隔離研究棟へと進んで行った。
全身の神経を張り巡らせながら廊下を進んでいき、目的の隔離研究棟へと辿り着いた。⬛︎⬛︎⬛︎博士の研究スペースは廊下を突き進んだ先にあるのだが、一同はある違和感を感じていた。
『…なんか変ですよ。』
ある職員が一言そう呟いた。
『あぁ、D-001が暴れているはずなのに隔離研究棟の中が思いのほか綺麗だ。暴れている痕跡が一切無い。』
先頭の武装職員が感じていた違和感を口で説明してくれた。D-001が脱走して暴れているのであれば、隔離研究棟にいた研究員の死体やD-001が暴れた痕跡があってもおかしく無いのだが、それらしい痕跡が一切無い。
『とはいえ隔離研究棟の方から⬛︎⬛︎⬛︎博士の逃げる姿を確認できていない。おそらく、研究スペースに博士は取り残されているはずだ。博士の安否が確認できるまで気を抜くな。』
先頭の武装職員がそう言いながら廊下を突き進みついに研究スペースに入る扉の前に辿り着いた。
扉の前についた武装職員の1人が磁気カードを取り出して扉の横にあるスキャナーに当てて扉のロックを解除した。
扉がゆっくり開くと同時に下ろしていた自動小銃を扉の先に向けた。
扉が完全に開き中の様子を見た職員に緊張が走った。
隔離研究棟に向かうまでの道中、隔離研究棟に入った後も何も変化がない様子だったが、研究スペースの中は血塗れになっていた。職員のバラバラになった死体がほとんどで何人がバラバラになっているのか分からないほどだった。
そして、研究スペースの奥、作業デスクの近くに救出目的の⬛︎⬛︎⬛︎博士が力尽きている姿と、博士を抱き起こすような形で支えているD-001の姿があった。
D-001は博士を床にそっと寝かせた後、武装職員の方を向いて歩を進めた。
武装職員は博士の救出は不可能と判断しD-001の討伐へと切り替え、自動小銃をターゲットに向けて、
『総員!撃てぇ!』
職員の1人が射撃命令を出した瞬間、職員の最期の光景は床に転がっている景色だった。
D-001に銃弾が放たれるよりも速く武装職員達に接近し、剣を抜き武装職員の首を一瞬のうちに切り落とした。
武装職員を殺したD-001は剣についた血を払った後、博士がいる方向を振り向き、悲しそうな表情をしていたがそのまま正面を向き研究スペースを後にゆっくり歩いて行った。
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