あとがき

 ……どうですかこの内容は。


 根底にあるのは「追放ざまぁ今更もう遅い」なんですがこれでザマァ出来る人は本当に少数だと思います。100人に1人でもいたら「多すぎる」方ですよ。

 日本じゃ1%の人間に刺されば100万人の人間のハートをわしづかみ出来る計算ですから、書籍化マンガ化アニメ化映画化ドゴーン! って出来る位の「凄い数」が1%なんでしょうけど。

 とにかく「徹底的にとがらせる」事を意識して書いたんですがどうなんだろう……。




「復讐もの」って国内では古くは赤穂浪士あこうろうしに始まる人類普遍ふへんにして不変の「娯楽」であって、個人的な工夫は何一つないのだが……。

 そりゃあ、なろうであれだけ「追放ざまぁ今更もう遅い」が流行ったわけだよ。人類の本能にブッ刺さる娯楽なんでしょうね。

 みんな大好き復讐ものだけど『「1兆」やられたから「5000億」返してもまだ足りない』っていう徹底ぶりをしただけで、何のひねりもありはしません。




 全編どこを見渡しても狂人しかいない物語で、主人公の「高見たかみ 黒鵜くろう」も狂ってるし、悪党の「真田加まだか 瀬史琉せしる」と穂炊木ほだぎ 大愛だいあ」も狂ってるし、

 彼らの父親で、子供たちに全面的に肩入れする校長も担任教師も狂ってるし、

 こんな物語を書いてる私も狂ってる。そんなお話です。




「関わる人、みんな狂ってる」作品で、まさに「誰も幸せになる人はいない」物語です。あらすじにもあったように夢も希望も救済もあったもんじゃない、酷いお話ですよ。

『「お荷物なサポート役が、パーティーから脱退して、喜んでいたはずがー!?」なんていう「交通安全動画」を期待している人は「回れ右」をした方がいい』

 って言った意味が今ならわかると思います。自分から「書籍化不可能!」なんて言いましたけど、こんな内容なら余程の間違いが無ければ不可能ですよこんなの。




 まぁ作者が「いじめられっ子がいじめっ子に仕返しをして、相手を自殺するまで追い込んで実際に自殺してもまだ許せず、墓を暴いて骨壺に向かってウ×コぶっかける」っていう話を「最高にCoolでRock」って思うような奴なので、そいつが性癖を全開にして垂れ流したんだからこんな内容になってしまったんだよなぁ。


 新聞記事やニュースサイトへのリンクといった物的証拠が無いのでウソニュースかもしれませんが、初めてこの話聞いた時は正直言って『感動しました』もん。

「は、墓を暴いて!? 骨壺に向かって!? ウ×コぶっかける!? ス、ス、スゲェ!! 最高にカッコイイ!!」って素で思いましたもん。狂ってるでしょ? 俺。




 今作は「いじめ被害者」は客層には入れてません。え? 何で? いじめがテーマなのに? そうです。

 なぜなら「保護者がいじめ加害者側に加担する」のがあまりにもリアルすぎてトラウマを引っぺがされるからです。

 いじめ被害者からしたら「保護者からの裏切り」が一番効くんですよ。

 だから「いじめ被害者」は今作は見れたものじゃないです。あまりにも恐ろしすぎて。そうではなくて、ドロッドロの家庭不仲マンガを娯楽として笑って見れる人向けです。




 昔、14歳の少女がいじめで凍死する事件があって、その時教頭が


「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。

 どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみてください」


 って言っちゃったんですよね。まさに「事実は小説よりも奇なり」って奴で、ラノベの悪役でもここまで酷い事は言わない、というか倫理上「絶対に言えない」よ。

「守ってくれるはずの大人が敵になる」これ以上に残酷なことは無いし、これに耐えられる子は誰一人としていないと思う。




 実際のいじめはフィクションで語られるいじめよりもずっと残酷で、

 編集者からも「これだとエグすぎて人気出ませんからもう少しマイルドな表現に直してくれませんか?」って大幅な校正が入りますよ。

 まず無理だろうけどこの作品が書籍化されるとしたら、原作であるWEB版とは似ても似つかない「大幅なマイルド調整」が入るはずです。

「いじめ描写が迫真過ぎるなろう小説」こと「マサツグ様」もそうでしたし。




 何せいじめた側はたとえ相手を殺しても罪に問われずうやむやの内にもみ消されるし、内申書にもいじめに関する項目が無いから相手を殺してもダメージは入らない。

 むしろ相手が死んだら「ス、スゲェ!! オ、オレ様は、オレ様は!! 人を殺した事さえあるんだぜぇ!!!!!」っていう激烈な負の自己肯定感を得られてしまい、

「女にフられたぐらいでガタガタぬかすな! オレ様はきちんと人を殺した事さえあるんだぞ!」っていう鋼のメンタルを身に着けちゃう。




 その後「一流大学にも順調に進学して有名企業に就職、出世コースをばく進して恋愛も結婚も経験して家庭を築いて幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」

 ってなるんですよ。


 逆にいじめられた側は「心的トラウマのせいでまともな対人関係を築けずぼっち人生。それに不登校だとそれ以上の進学が出来ずに学歴でも落ちこぼれ。

 当然まともな会社に就職できずひたすら労働力を搾取される一生を送る」んですよ。




 ……どうです? 不公平でしょ? でもこれが現実なんですよ。いじめられている側はそれこそ「こいつでいじめっ子一同を皆殺しにして来い。生きて返すな」って言って、ヤクザから買った拳銃持たせて射殺するのが「最適解」なんですよ。

 実際、スクールカーストの本場であるアメリカじゃ生徒の銃乱射事件が「毎年起こる風物詩」になってるそうですし、日本でもアメリカでも殺さないとこっちが殺されるって所まで行ってるんでしょうね。




 実際、拳銃までは行かないものの、いじめられっ子がある日キレていじめっ子をスパナで殴って頭カチ割って殺しかけたけど、

 その結果いじめられっ子は恐れられ待遇激上がりでカースト1軍の仲間入り。逆にいじめっ子は天狗の鼻をブチ折られたのを起因にカースト3軍のチンピラ塩キャラに降格。

 っていう「暴力が全てを解決する暴力のスタンディングオベーション、暴力の大団円」があったそうなので、本当に救いがない。世紀末世界でもここまで酷くないぞ。

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フクシュウ狂ヒ あがつま ゆい @agatuma-yui

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