第22話 見知らぬ記憶
陸は真理奈に伴われ、
これまで、陸自身の処遇などについての決定事項は、全て幹部である真理奈から伝えられている。
ゆえに、「
応接間の前に着き、真理奈が扉をノックすると、中から男の声で「どうぞ」と返答があった。
開いた扉から、陸は真理奈の後に続いて部屋に入った。
陸たちの姿を見て、ソファに座っていた五十がらみの男が立ち上がった。制服ではなくチャコールグレーのスーツという服装以外は、陸の記憶にある「
傍らには、護衛と思われる、二人の黒いスーツ姿の男が立っている。
「お待たせしました。
そう言いながら、お辞儀をする真理奈に
「
陸も、真理奈と
「君たちは、ちょっと外していてもらえるかな」
そう
「し、しかし……」
「大丈夫だよ。ここは、ある意味、日本で最も安全な場所だからね」
「……分かりました」
男たちは、
「初めまして。私は『
「
「
省庁の最高責任者である大臣に任命されるのは、ほとんどの場合、国会議員というのが慣例である。
しかし、「
一見、ごく平凡な男に思える
「ちょっと、そのバイザーを外してもらえるかな」
「失礼しました。内側からだと普通に見えるので……」
慌ててバイザーを外した陸の顔を、
「……顔立ちは母上に似ているけど、雰囲気は父上にそっくりだね」
うんうんと頷いている
「お、俺の両親を、ご存知なんですか?」
「ああ、君の父上は、大学時代の私の先輩、母上は同期生で、お二人とも、この『怪戦』で共に働いていた時期があったんだ。
「
「母方の祖父母に引き取られた際、養子縁組して姓が変わったんだ。彼の元の名は『
「
「技術畑の
頷く
「あの……急に色々聞いて整理できていないんですけど……」
陸は、ようやく口を開いた。
「俺……祖父母からも、両親のことについては、あまり聞いていないんです。今の話も、ほとんどが初耳で……」
祖父母に引き取られる前の名前も、陸自身は長い間、思い出すことすらなかったものだ。
「……そうか」
「俺が祖父母に引き取られたのは、両親が亡くなる前です。……
陸は、半ば無意識に言葉を発していた。普段は意識していなくとも、彼の心の奥に刺さっていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます