みさきとマシンガンと女の子(名前はけい)3
坂口は、彼女と映画を見ていた。
大声で言わせてもらう。アツアツである。彼女の方は、坂口にベタベタ。坂口は、この桂が初彼女である。アツアツでないはずがない。大声で、言わせてもらう。あっつあっつである。
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「ひゃはーい、波乗り楽しい~」
「おい、頭ついにおかしくなったか?兎瓦けいっ」
「あたしゃ、意味が解らなくなったら、楽しむって決めたんだよ」
「は、水族館では、鼻水から何から全部漏らして、ああ!とか言ってたくせに。兎」
水面を高速で、移動しながら、悪態をつき合うのは、青いチャイニーズドレスのようなものに身を包む、人魚と水着の女子高生である。なかなか、ない光景である。
ついでに、その20m以上、後ろには、人魚より遥かに遅いスピードで、追ってくる泳ぐ獰猛猿である。この分だと、追いつかれることはない。
けいは、言った。余裕のよっちゃんの表情である。
「おい、柚宇」
水平線を見たまま、返事をするマーメイドキョンシー。 「なんだ、泣き虫」
ざん、ざん
定期的に、胃が浮く感覚に襲われるが、けいはこういった類いの刺激は、この上なく好きであった。
「、、、あいつらがわたしの母ちゃんを、びびらせたんけ?」
柚宇は即答した。
「だったら?言っとくけどよ?おセンチイシアガン!とち狂ったって、敵の思うつぼだぞ?黙っておれの言うことを、き、」
柚宇は、浮輪が軽くなったのに、気付いた。
「れ? けい?」
振り返ると、5頭の猿の餌食になる寸前の、兎瓦けいである。
柚宇は叫んだ。
「何ヤッテンダ、バカァ! WHAT A fuckin’ shitHOW dare that cunt...!」
なぜか、言語変換を間違えた。 けいは、笑っている。
近付く猿。
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坂口を夢の<ア~ン>をしていた。敢えて状況は説明しない。イライラするからである。<ア~ン>に関しては、坂口は好きだな、と思った。ここは、坂口の部屋である。食器の上に、プリンだのがある。夢の<ア~ン>である。坂口は、とてもおいしいな、と思った。
馬鹿である。
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柚宇は、マジでびっくりした。マジでびっくりしたのである。飛びかかって来た、5頭の猿が、けいの目の前で、忽然と消えたのである。
「は?」
間抜けな顔をした、柚宇は次の瞬間、何が起きたのか、気付く。
遠い浅瀬。海の家。海の家の前。海の家の前のベンチの前。ギターである。ただの、ギターではなかった。次の猿の軍団は、まだまだけいと柚宇の所までは、辿り着かない。
だが、余裕はない。その中で、けいは、この上なく眩しい笑顔で、柚宇にVサインをしながら言った。
「それはお前のものだ。けい。お前が助けた分だけ、ギターはお前の力になる」
その時、新たな声がした。
「その通りだ! 兎瓦けいっ!」
近付く猿2,30頭を、ほとばしる電撃がまとめて水上にて、焼き殺した。
「マウヅ!」
柚宇が、水を尾びれで打った。
けいは、手を差し出した。
電撃は、止むことなく、なんと浜辺まで、シーツのように、広がった。驚き、パニックを起こす動物たち。すでにイルカの姿はいない。
ばち、ばちち
ギターがすごいことに、なっていた。
5頭の猿の頭部が、ところせましとその楽器のボディーに付着しているのである。気味悪いったら、ない。
電撃の主は、わずか30cmである。
この世の生態系の頂点に君臨する、大洋の覇者、と同時に殺戮特化哺乳類、学名をOrcinus orca意味は、冥界の悪魔。流線は、食物連鎖の合計を比喩し、その鋭い歯は、生きとし生けるすべての生物を肉片に帰す。
和名シャチ。
「マシンガンっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「久しぶりだ、最強イシアガン、兎瓦けいよ!」
その動物の、高潔なる魂を持った、調合惑星巫天ヨウフ、その長(おさ)JETTOES担当
名をマシンガンと言う。
「おせえよ、ばか。どいつもこいつも」
柚宇は、表情と言っている内容があべこべだった。
「泣き過ぎだよ、バカけい。マウヅも、ほら、いい加減弄ばれてイライラしてっぞ。相変わらずこっちじゃ、ちっちぇえな、あいつおいちょっとおれも混ぜろよ、コラ」
突進する柚宇。
「この、相変わらずかわいくねえ、シャチだな、これひゃっひゃっひゃっひゃ」
てーい、とわずか30cmの物体をつつく、けい。
「調子に乗るな、小娘が!お前のその、声が一番気に障るのだ!ふ」
マシンガンは、本当にイライラしているように見えた。
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モノガタリ ハ マダ ハジマッタ バカリ デアル
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