ゆしとマシンガンと女の子2
眞弥は、名前の欄にORCAと書いて「あ」と言いすぐ消した。
今、眞弥はプールに来ている。理由は夏だからだ。人間は、プールで友達を作るものだ、とどこかで聞いたことがあったのだ。まず、ガセだった。少なくとも、日本でそのような風潮や暗黙の許される横行は、聞いたことがない。ナンパなら、あるだろうが、ついさっき痛い目を見た、いや、見させた、いさかいに巻き込まれたばかりである。
「一枚ですっ」
しかし、わくわくした。眞弥は手ぶらだった。プールサイドにどかっと座る眞弥。あぐらをかきはじめた。ちらちら、と視線が、自分に注がれているのがわかる。なぜだろう、と思った。眞弥の来ている、このプールは野外である。この日は晴れで、平日にも関わらず、なかなかの混み合いを見せている。うんうん、と意味もなく、あぐらをかいたまま、眞弥は首を縦に振った。水着など持ってきていなかった。普通に普段の格好で、プールサイドであぐらをかいていた。友達は、いつになったら、現れるんだろう、と思った。3時間経っていた。
-
「いつも晴れだったら、いいのに。さとし!そう思わない?」
「、、、」
「(まずいまずいまずいまずいまずい、これは絶対にまずい。)」
「座んなよ、ねーえ」
さとしは、黙ったままだった。黙ったまま、一言も反応せず、一緒に、入ってきたメンバーと、桂、坂口と一番、遠い位置にある、席についた。特に、機嫌が悪いとかそういうものが、うかがい知れる表情では、なかった。坂口は言った。
「まずいまずいまずい。ああーーーーーーーーーああーーーーーーーーーーーーー~~~~~~~~~~~~もううううう」
桂は答えた。
「どうしたの、浄介。陣痛?」
浄介は睨んだ。すぐさま、携帯を取り出し、ふうと息を吐いたあと、さとしにメールを送った。この距離なら、話せばいいのに、と桂は思った。<違うんだって。なんか、お前の彼女がさー。まあ、ちょっとわかんねえから、ちょっとあとで話すべ。な。っつうか、おれもう、けいちゃんと用ないから、お前らに今合流していい?>こういう内容だった。観察していても、さとしに携帯に気付いている様子はない。浄介は、桂の顔を見ながら、舌打ちをした。桂は言った。
「夢、八つ裂き」
「は?」
浄介は何か憤りを感じてきた。なんでこんなことになったのだ。なぜ、こんな意味のわからない連中に付き合わされているんだ。地球様ってなんのことだ。誰より自分に腹が立っていた、のかもしれない。
地球様は、友達作りに失敗して、だが、くじけず、付近のスタバで時間をつぶしていた。地球様、もとい神岡眞弥は、甘いものを頼んだ。PARCOと書いてある、店内のサインを見て、眞弥は発音を試みた。
「パー子、、、。なんか、、、あれだ。 、、、なんだっけ。林家(はやしや)、、、」
そばで、吹き出す音が聞こえた。は、と振り返ると、眞弥を見ながら笑っている、女の子がいる。見た感じの年齢は、自分と同じくらい。笑ってしまった女の子は、眞弥に謝った。
「あ、すいませんっ!なんかお一人で喋ってたから、、!でも面白さ百点でした!気にしないでください」
その子は、とりあえず嫌な感じがしなかった。眞弥は、しかし顔を真っ赤にさせた。
「よ、読み方間違えてました?」
おお、話してくれるんだ、と振り向きなおす、女の子。
「あははは、ほんとはパルコですけど、いいと思います!にゃはは」
「名前、なんていうの?」
「ちなつです」
「あたしは、まや。よろしく」
「!よろしく。平日なのに、学校行ってないんですか?」
眞弥は答えた。
「うん、まだ越してきたばかりで」
ちなつは、表情を真面目にした。
「そりゃ心細いよね、座って座って」
-
そのとき、ゆしの背後で恐るべき大きさの、波が立った。けいは、はわあ_。口をあんぐり、開けた。その場に、居た全員がその、突然の出現、それを確認しようとした。それなのに、である。けいは、それ以上の気配を頭上に感じた。頭上と、言っても、地面から数m、そんな貧相な規模ではない。
「、、、」
わたしの名前は、マシンガン。この犬公に、人間の素晴らしき習性、恩返し、というものを実践させてやるために、やってきたのだよ、けい
夜空は、何億ものストーリーを眩しさに、溶かし続ける、色とりどりの星を宿していた。立ち続ける水柱よりも、けいは、空に見とれた。
けいは、叫んだ。
「うおおおおおお!」
女子高生の発するフレーズとは、思えなかった。
勇気を鼓舞するような、原始人の様な、声を兎瓦けいは、何かにとり付かれる様に、上げたのである。
場にいる誰もが、驚いた。
マシンガンは、けいを見て言った。
「なんと神々しい」
空には、3つ、月が在った。 錯覚では、なかった。
我々のよく知る、あの巨大で身近な隣人は、2人、兄弟が、いたらしい__今、ここは古代の地球。求喰川、である。
爆発を起こした、全貌が明らかになった。出てくるなり、それは、目の前のメスのシャチに口づけをした。ゆしは、体を許し切っていた。
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