新しいジャンルを切り開いたホラー小説
- ★★★ Excellent!!!
最初はサムネの通り、不倫地獄を描いた作品なのだと思っていました。
不倫地獄といっても、よくネットで見る不倫漫画のようなドロドロとした確執、女の闘い!という感じではなく、主人公春絵の内面にどんどん踏み込んでいく、深淵に降りていくようなじめっとした怖さがありました。
その内面の描写も、文章が恐ろしくうまいので、自分の中に眠っていたような感情も引きずり出されて怖い怖い。
馬鹿な人間だと彼女を笑いきれないのは、きっと人間なら誰しも、彼女の持つ薄暗い感情を、一時でも感じたことがあるはずだから。
そして真の主人公である不思議な少年アスラくん。彼はいったい何者なのか、話を読み進めるほどに気になって、目が離せません。
そして途中から、話は思わぬ方向へ進んでいきます。そこからの怒涛の展開と、実はいたるところに張り巡らされていた伏線の回収はお見事!
全て読み終わってから、冒頭の第一話を読み返し、「そういうことかぁ!」と唸りました。
こんな肉厚なお話を、この分量に収め切っているのが本当にすごい!!
新しいジャンルのホラー小説だなと感じました。ざまぁあり、SFっぽい部分もあり、アニメ化してほしいようなファンタジーっぽい部分もあり!そして実はほろりとくるようなところも……。
ぜひ、読んでみてください。個人的には続編を期待しております!