最新話まで拝読してのレビューです。
異世界転生した少年がそこで戦いに身を投じ、成長していく。
そう書いてしまうと、よくある物語になるのですが、本作にはそこに留まらない魅力があります。
一つは少年の成長譚であり、彼を支える周囲の者たちの成長譚でもあるのです。
異世界だろうと現実世界だろうと、表があれば裏があり、光があれば闇がある。
相反するものでできあがった世界の中で、少年は弱さを知り、強さが何たるかを学び、そしてそれを目指して、もがきながら必死に前に進んでいく。
少年の熱い行動に目がうるうるっと来てしまいます。
彼を取り巻く大人たちも、必死にあがき、現状を打破しようとしています。
そんな彼らが少年と出会って、新たな波が生まれていく。
そこに物語の核が置かれているからこそ、本作は面白いのです。
単純明快にスキルがあって、どんどんチートに目覚め、無双する。そんな作品は巷に溢れています。あっさり読めて楽しいのも間違いないでしょう。
でもそうではない作品も埋もれていて、そこに光があります。
そういった作品を発掘して、応援するのもウェブ小説の魅力の一つだと思います。
本作はその一本であることは間違いありません。
是非ともまだまだ始まったばかり、10万文字を越えたところです。
手に取るのは今しかありませんよ!
己の非力さに絶望した少年、心優しきギャング・スター、強く気高い勇者と相棒の妖精。
戦争、混乱、差別、権力、貧困……
それらは強者と弱者を生み出し、搾取する者と、される者に世界を二分する。
そんな世界の中で、何者でもない弱い主人公や、差別の嵐に翻弄される獣人族の少女が、弱さの中から強さを生み出していく様に胸が熱くなります。
ある程度の力、自分一人が生き延びるには困らない程度に力を持つ大人達が、非力な子供の放つ、弱さと強さに心を動かされて、世界を変える変革に手を貸すことになっていくのですが、その誰もが胸に痛みと弱さを抱え、葛藤しながら生きています。
力と非力、死と再生、相反する光と影の切っても切れない物語。
弱く力強い物語。