帰省編Ⅱ

第38話 海水浴に行こう!


 日程が決まったのか

 先輩方から連絡が来た。


 どうやら来週の

 土曜日になったようだ。


 母さんにも伝えておくことにした。

 黎亜を呼ばなきゃいけないからな。


 さてその後一週間は

 またまた修行の日々だった。


 影の内部をコントロールする練習。

 つまり影釣りの時間だ。


 釣り糸を影に垂らす。

 これだけ。


 地味だが、着実に

 内部が意識出来てきた気がする。


 このまま続ければ

 数ヶ月も経てば会得できるんじゃなかろうか。

 

 そうなれば夢が広がるな。

 うんうん。


 一応、今の俺の技を

 纏めておくか。


 まず影の斬撃を撃ち出す「飛天」。

 影のコウモリを飛ばす「夜鼠」。

 刀に影を纏う「月光」。


 とりあえずはこの3つだ。


 父さんは似た術式だけど

 どんな技を編み出しているのかな。


 ちょっと気になるな。


 また帰ってきたら聞いてみるか。


 そう思っていたが

 一週間のうちにには

 帰ってこず……。


 海に行く日になった。

 と言っても日帰りだ。


 心配することはないんだが……。


 修練場で待っていると、

 転移陣から黎亜がやってきた。 


 すでに水着姿である。


 白いワンピース型の水着に

 身を包んでおり、

 ものすごい清楚な感じだ。


「お招きいただきありがとうございます!」


 ニコニコしている黎亜。

 着替えも持ってきているようで

 バックパックを持たされていた。


「ああ、今日はよろしくな」

「珀斗様のご友人も来るそうで!!」

「おう、そうだな」

「……女性の方も来るそうですね」


 笑顔だった黎亜の顔が急に無表情になる。

 なんだか冷たい印象を受けて怖い。


「あ、ああ……友達だよ」

「信じておりますよ? 珀斗様」


 こてんと小首を傾げる黎亜。

 こういう仕草はとても可愛い。


 でも何を信じていると言うんだ。


「わたくし、愛人は許すタイプです!」

「だからただの友達だって!!」


 じ~~~っと見つめてくる黎亜。

 この目で見つめられると

 なんだか嘘を見透かされている感じだ。


 だが認めてもらえたようで、

 再びニコリと笑ってくれた。


「信じてますよ? 珀斗様」


 な、なんだか怖いなあ……。


 こほん、と八雲が咳をする。

 どうやら待っていたようだ。


「ああ、八雲。送ってくれ」

「ええ、向こうの転移陣と接続できました」


 どういう感じかわからないが

 海辺の転移陣と接続できたようだ。


 それじゃあ向かうとしよう。


「では珀斗様、乗ってください」


 俺も転移陣に乗り、

 いつものように八雲が印を結ぶと

 周りが歪み、いつのまにか祭壇にいた。


「ふむ、ここは……?」

「とりあえず出てみましょう」


 外に出ると、ここは寂れた神社のようだ。

 なるほど、いろんな地方に

 こうして転移陣が置いてあるのか。


 外にはすでに先輩方が二人。

 それに夏芽と冬見がいた。


「遅いわよー!!」

「そ、その子は……?」


 二人を見て、にこりと微笑む黎亜。

 やはり何処か冷たい印象を受ける笑顔だ。

 営業スマイルというべきか……。

 

「よろしくお願いします。

 わたくし、珀斗様の許婚の

 百合宮黎亜と申します」


「ああ、例の許嫁」

「よ、よろしくね……」


 ……なんだか火花が散っている気がする。

 気のせいだと思いたい!!

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