第20話 夏芽の術式


 実際どうするか……。


 別段入りたい部活もないし

 武器愛好会に入ってもいいんだが。


 まぁ、そう結論を焦る必要はない。

 他の部活も見てからにしよう。


 ひとまず夏芽が

 橙地蔵に術式を流してみるらしい。


「結局、夏芽の術式ってなんなんだ?」

「はぁ? まぁあんたになら

 教えてもいいか……」


 そう言って、ちょいちょいと手招き。

 俺はそれに近づいて耳を貸した。


「私の術式は治癒よ。

 その応用で身体強化も出来るってわけ」


「応用って?」


「まぁ、それは……

 ちょちょいのちょいよ」


「ちょちょいのちょいって

 なんだよ……」


 術式なんて感覚だから

 どうしようもないとは思うが……。

 ということは橙地蔵を引き抜いたら

 身体能力が上昇するのか。


「それではやってみます」


 構えることもせず、

 ただただ橙地蔵を眺める夏芽。


 すると夏芽の術式の影響か

 雷がほとばしり始めた。


「きゃっ!?」


 思わず落としてしまう夏芽。

 暫くの間、雷が迸ったままだが

 やがて無くなった。


「大丈夫でござるか!?

 痛くなかった!?」


 小林先輩が

 心配して近づく。


「ええ、別に

 痛いとかはなかったですけど……」


 それに気づいたのか

 木陰で眠りこけてた飯塚先輩が

 目を開けてこちらを見る。


「ただの術式反応だ。

 あれがいわば凝縮された術式ってわけ

 ふわっ……だる……」


 それを聞いて

 夏芽が神妙そうに頷く。


「へぇ……

 決めました、私

 武器研究会に入ります!!」


「ええ!? いいんでありますか!?」


「ええ、降魔刀のこと

 もっと知りたくなっちゃった!!

 珀斗! あんたも入るわよね!?」


 バッ、とこちらを向く夏芽。

 俺に話をふるのか!?


「いや俺は他に部活も見たいし……」

「これだけ世話になってるのに!?」


 心底驚いた顔だった。

 それもそうなんだけどさぁ……!!


「掛け持ち、ありでございますぞ」


 ニコニコと小泉先輩が言ってくる。


 こうなると断る

 というわけにもいかず、

 結局俺は武器研究会に入ったのだった。


 


 

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