第19話 模擬戦


 小泉先輩との対決は真剣である。

 一応トドメは寸止め──らしいが、


 今回は術式ありなので

 バンバン飛天を撃っている。


「ははは! こんなものですかな!?」


 一方の小泉先輩は

 三節棍を用いて俺と応戦している。


 それだけではない。


 宙から突然武器を抜き出し、

 状況に応じて切り替えているのだ。


 あれが小泉先輩の術式。

 転移と似て非なるそれ。

 本人は”収納”と呼んでいたっけ。


 よし、飛天以外も試してみよう。

 俺は影を無数の蝙蝠に変え、

 小泉先輩にけしかけた。


「──夜鼠よねずみ


 いわゆる幻獣を生み出す技だ。

 蝙蝠ならなんとか出来るようになった。

 本当は八雲みたいに

 色々生み出したいんだが

 なかなか難しい。


「新技ですか!? やりますなぁ!」


 それに対して、小泉先輩は

 槍を引っ張り出しくるくると回転させると

 夜鼠を全て叩き落としてきた。


 飛天も夜鼠も効かない──!!

 こうなったら……

 接近戦を仕掛ける!!


 ガギィン、と黒孔雀と

 小泉先輩の槍がぶつかり合う。

 全力で向かうが、

 うまく攻撃をいなされる。


 やがて訓練終了を告げる

 ストップウォッチの音が鳴った。


「ははは、ではここまで

 やりますなぁ。

 周防殿が高校になっていれば

 絶対に私より強くなりますぞ!」


「そうは言ったってなぁ」


 黒孔雀を鞘に納めながら

 はぁ、と溜め息をつく。


 俺もまだまだだな。

 飯塚先輩の方を見ると

 夏芽が橙色の降魔刀を引き抜き

 構えているのを興味深く見ていた。


「これは長らく失われていた

 だいだい地蔵じぞうだな」


「へぇ、なにか能力あるんですか?」


「いや? 他の降魔刀と同じく

 所有者の術式を強化する以外は……ない」


「へぇ~~~」


 橙色の刀身を興味深く見る夏芽。

 夏芽の術式は身体強化……だから

 さらに強化が強くなる、のか?


「剣術は小泉にでも習え……

 だる……」


「ありがとうございますっ

 飯塚先輩!!」


 そう言われても飯塚先輩は

 興味を失ったようで校庭にある木陰で

 眠りこけ始めた。


「そういえばふたりとも

 部活は決めましたか!?」


「いやまだですが……」

「部活ってあったんだ」


 すっとぼけた調子の夏芽。

 あんまり学校行事に興味ないのか?


 それを聞いて小泉先輩は

 パンッ、と手を叩いた。


「ではぜひともわが武器研究会に!!」


 武器研究会……。

 かなりディープな部活っぽいぞ。

 いくら小泉先輩の頼みとは言え

 もっと青春的な部活に入りたいが……。


「ちょ、ちょっと考えとくわ……」


 夏芽も少々引き気味だった。

 小林先輩は露骨にしゅんとして──。


「そうですか……

 しかし入部申請は5月31日まで。

 決まらなかったら

 その時は武器研究会に!」


「そ、そうね。

 決まらなかったら入ってみるわ」

「ああ、俺も……」


「待ってますよ!!」


 ぺかーっと笑顔になる小泉先輩。

 うう、なんとも裏切れない感じだ。

 

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