第3話 情報整理


 喫茶店で話をした私と黒崎さんはその後、その足で事件のあった街に向かい情報を集めていた二人と合流する為、近くの宿を取り待つ。 ただ待つだけではなく宿は出来るだけ事件の現場が近い場所に取り、部屋の窓から街が見える場所だ。部屋は流石にランダムだったがいい所を取れました。魔導警察の調査だと云えばもっといい所に通してくれたかもしれないが、権力をあまり使いたくなかったのと警戒しすぎかもしれないが何処にスパイ的な人がいるとも限らないですからね。


 窓から街を眺め、目視で周辺の確認をしていく。


「地図によると、ここから1㎞未満の場所で現在最後の放火現場……そして、その周辺数十㎞圏内に過去の放火現場が数件……というには、流石に数が多いいですね」

「この街が繊維会社や服屋、古着屋が多く並ぶ、云わずとしれた、ファッション街っていうのもあるな」


 手元の資料を黒崎さんと眺めていると、部屋のベルが鳴り、ドアを開けるとトウマくんと空中に浮いたノワルがおり、私は中に入る様に促す。 


「マールちゃーん♪」

「お疲れ様です黒崎さん」

「ああ」


 ノワルは呑気のふわふわと浮き手をブンブンと振りながらやってきて、それとは逆にトウマ君は黒崎さんに挨拶し、一言返す。


「二人共、お疲れ様です。早速ですみませんが、報告お願いします」

「えー? いきなりー? 頑張ったボクをもっと労わってよ」

「ちょっとノワル、仕事だよ。……もう、ぼくから報告するね」


 ふざけるノワルに代わってトウマ君が先に報告してくれる。


「容疑者の繊乃さんは少し素行に問題はあったけど、仕事に支障が出る程じゃなくて、どちらかというと職場では比較的まじめに勤務をしていて、周りからの評判はそこそこだったみたい」

「その説明だとあんまいい印象じゃなかったって聞こえるけど?」


 トウマくんの報告にノワルは首を傾げる。


「うーん、そうかもしれないけど、彼の元職場やご近所さんの聞き込みによると眼つきは悪かったけど、挨拶は返してくれる人って感じだね」


 ノワルのツッコミにトウマ君は苦笑いで頬を掻きながら答える。


「まあ、接客の態度が悪くても働けてる人がいるので、それと似たようなものかもしれませんね」


 トウマくんの意見に私が言葉を付け足し、ノワルの方に目を向けると「に~」と無邪気な子供のような笑顔をして写真を机の上に広げる。


「みてみて~♪ ボクが撮った綺麗な空の写真とついでに空から撮った現場の写真」

「いや、現場の写真をお願いされてたよね!?」

「なに余計なもの撮ってるんだよ」


 ノワルに二人はツッコムが私は現場の写真を手に取り目を通す。


「ノワルご苦労様です。無駄に消費したフィルム代はアナタの給料から引いておきます」

「え~? なんで?」


 何故だか理解できてないノワルは放っておいて写真を見ていくと気になるものがあった。


「これは……」


 その写真には柱や壁に『獣の様な焦げた牙の跡』が数か所写っていた。

 

「その『跡』、何故か『ある』現場と『ない』現場があるな」


 黒崎さんも疑問に思っていたのか、似たような跡のついた別の写真を見る。


「………………」


 私は暫くその写真を見た後、黒崎さんから貰った書類を取り出し再度確認する。



【いくつかの現場に『動物の牙の様な焦げた痕跡あり』何かは不明だが形的に狼の様な獣の可能性あり、しかし、現場には獣の死骸や痕跡はなし】


「………………」


 次に最新の数件の事件の資料を見る。


【現場で確認されていた『謎の牙の痕跡』『なし』】


「……やはりそうですか」

「どうした?」

「あくまで私の推理によると……」


 

 ウゥーーーーーーー!! カンカン!! ウゥーーーーーーー!!



「!?」


 突然、外から激しいサイレンの音が聴こえ反射的に窓の外に顔を向けると窓から見える少し離れた場所に『真っ黒な煙が上っていた』。




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マルッと解決! 丸内林檎の色彩(カラフル)事件簿 ~魔焼の腕輪と噴厄の記憶~ たぬきち @tanukitikaramemo

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