夜明け前の隅っこ
街角の時計が少しずれている
誰も気が付かない時間のずれが
冬の空気に溶け、季節を運んでいく
この瞬間だけは特別だと
何度も同じ夜を超えてきた
一年前に見た空は
もっと高く、星が近かったような気がする
春の道があった
散り始めた桜は地面を覆い
流れる風はどこにいくのか答えてくれなかった
あの頃は僕も追いかけていた
夏の道があった
歪んだ陽炎の中に伸びる影
見知らぬ誰かの笑い声が聞こえた
永遠のような陽射しが痛かった
秋の道があった
赤や黄は沈黙の中揺れていた
坂の上を見上げても
掴めるものは何もなかった
冬の道があった
雪は降らなかった
白い息を吐いて、空を仰ぐだけの今日
誰も空を見上げない静寂が世界を支配していた
この一年が消えていく音を聞きながら
今日も孤独の淵に立っている
過ぎ去った日々の隙間に
どれだけの言葉を、文字を置き去りにしたのだろう
年越しという名の夜を見る
何も変わらないと知りながら
それでも少し期待している
次の朝がまぶしいことを
新しい年が来るらしい
そしてその先には知らない光があるのだろう
少しだけ足を前に出してみる
手と足一緒に出してもいいだろう
どこかで待ってる朝に向かって
少しでも進めるのなら
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