朝が来ても世界はそんなに変わってなくて

窓の外では昨日の続きのような空が音もなく広がっている

遠くの踏切が無機質に鳴いた

誰かの忘れ物みたいに置かれたコップ

飲みかけの水がこの部屋の時間を昨日のまま止めている


夜が淡くほどけて

カーテンの隙間から差し込む光が

出かける時間だと無遠慮に急かしてくる


今日なんて来ないでくれなんて願いは

明け方の光に溶け、眠れなかった夜の余韻だけが体に張り付いている


それでも空は今日を塗っていく

あの雲は僕のまだ知らない光を隠してる

世界は僕を置いていく


――朝が来ても世界はそんなに変わってなくて


それでもほんの少しだけ違うものを探して

僕は夜を脱ぐ


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