第3話 砂漠にて

 灼熱の暑さのなかを歩く、水も滴たるいい女。

 私です。

 いやー、私ほど可愛いと、汗も魅力的ですね。

 炎魔法は熱さと切っても切れない関係ですし、やっぱり汗が似合っちゃうんですよねー!

 服がぐっちょぐちょで気持ち悪いですけどね!

 どうしてくれるんですか!

 お気に入りの服がびしょびしょですよ!


 まぁ、暑さの文句はこれくらいにして。

 次の街を目指して道を進んでいたんですが…おかしいですね?

 とっくに街にはついてるはずなんですけど、何もないです。

 というか本当に何もないです。


 なんといったって、この辺り一帯が砂漠になってますから。

 太陽が燦々と照りつけて、暑くて暑くて仕方がないです。

 というか、こんなところに砂漠があるなんて、聞いたことないんですが?

 てか、街もう通り過ぎましたよね?地図の通りなら、私街のド真ん中ですもんね?



 …まぁ、つまり、そういうことですか。

 どうやら、行く予定だった街は、砂漠に埋まったみたいです。


 とりあえず、言いたいことを言いましょう。


 「…なんですかこれぇぇ!!??」


 と、叫んでも、返事はありませんでした。

 あるのは、風と砂の音だけ。



 「……いや、これ、絶対なんかの事件ですよね?」


 気になりますが、それよりも喉が渇いて仕方がないです。

 帰ったら絶対に水か氷の魔法を覚えます。

 カバンを漁るといつのか分からないボトルに半分くらい水が入ってたので、水分はなんとかなりました。


 喉も潤ったことですし、ちゃんとこの砂漠化について考えてみましょう。

 まず、この砂漠化はつい最近起こったものだと考えられます。前の街にはここに合った街から来た人もいましたが、こんな話は聞いていないです。ですから、ことが起こったのは最近でしょう。


 次に、次に、……それくらいしか分からないです。

 いや、知りませんよ。黒幕じゃないんですから。私は探偵でもないですし。


 私は、魔法使いなんです。

 なら、使うのは、魔法。推理力でも観察力でもなく、魔力。

 全てを魔法で燃やし尽くせば、万事解決する。そんな予感がするので、遠慮なく燃やしていこうと思います。

 少なくとも地上には人はいませんし、問題はないでしょう。


 それでは、早速。


 「メラ!」


 ぐぐくーっと手に力を込めて、炎を放ちます。

 広大な砂漠の上に、私の炎が広がっていきます。燦々と照りつける日光に当てられ炎は更に燃え上がり、宛ら地獄のような光景です。


 ───一般的には。


 炎好きの私にとっては、どこを見ても炎炎炎、好きでいっぱいのこの空間は、天国。または、砂漠のオアシスです。


 「最っ高です!どこもかしこも炎!気持ちいぃ!」


 私は更にぐぐぐっと力を込めて、更に炎を強く、熱く、燃え広がらせていきます。

 ここまで自分の炎を解放したのは初めてかもしれません。

 超気持ちいいです。


 「ふふふっ、あはははははっ!!!」


 私のテンションが最高潮に達したころ、それは現れました。


 砂漠が動き出したかと思うと、中から大きなアリが出てきました。


 「キュイイィイイ!」


 そのアリは、耳がつんざく鳴き声をあげながら、大量の砂を吐きはじめました。


 「うるさいです!暑苦しいのは日の光だけで十分ですっ!」


 どうやら、こいつが犯人のようです。

 やっぱり、魔法使いは魔法を使うに限りますね。魔法が全て、解決してくれます。


 ぐぐぐっと力を込めて、呪文を唱えました。


 「メラ!」


 その炎がアリを包むと、アリは奇声を上げながら暴れまわります。しかし、炎から逃れることは叶わず、燃え尽きました。


 アリが倒れると、さっきまで星読数ほどあった砂が、一つ残らず消えてしました。

 そして、元々あった、街が姿を現します。


 どうやら、なんとかなったみたいです。


 さて、私もすべきことを。つまり、宿をとってぐったりまったりしましょう。

 流石に、疲れました。

 

 燃やして、街が戻る。

やっぱり、世の中だいたい燃やせば解決ですね。

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