第101話
美己side
急に出てきた、見るからにヤバい男が桜竜が止めるのも聞かず話した彼女の過去は暗く壮絶だった。
両親が借金をして逃げた。
しかもそれを未成年の一人娘に全てを背負わせて……。
捨てる……なんて。
そんな親がいるなんて。
桜竜……。
桜竜を見ると、今やもう感情を全て失くしてしまったかのように無表情だった。
瞳にも一切の光がなかった。
爆笑している男、何がそんなに可笑しい?
「アンタっ」
一言文句を言ってやろうとするも、桜竜が無言で男の前に立ち、大事に持っていた封筒を男の胸に押し付けた。
それは……給料袋?
“flower”と印刷されてる。
「今月も少ねぇなぁ」
「……」
男の厭味ったらしい言葉。
桜竜はそれに答えることなく歩き出した。
そしてすぐそこのオンボロアパートの1室へと入っていった。
……え?
まさかあそこに住んでるの?
女のコ一人で?
嘘でしょ…鍵なんてついてるの?
あたしの蹴りですぐ壊せそうじゃん。
「桜竜っ」
そのドアの前まで行き、名を呼びながらドアを叩くも返事はない。
だけどっっ。
押し殺して啜り泣く声が聞こえてきた。
「っっ」
「オイ、アンタ」
「!?」
いつの間にか男が近くに居た。
「何っ!?」
「コレ、アイツに渡しといてくれや」
そう言って差し出されたのは2万円。
「借金返してもらえるまで、死んでもらったら困るんでな」
「……」
あたしはそれを受け取る。
「アイツが心配か?なら、アンタも手伝ってやれよ。アンタなら稼げるぜ。風俗で」
「ふざけるな」
耳元で話しかけられ、腕で男を払う。
「ククッ。金がいる時はいつでも言えよぉ」
そう笑って言うと、男は帰っていった。
あたしは男が渡してきた2万円を握りしめ、上着のポケットからスマホを取り出した。
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