第78話

「おはよー、リュウちゃん」




午前2時半。



新聞配達の前の仕事、新聞の間にチラシをいれる作業をしていたら、ベテランの下瀬さんが入ってきた。




「おはようございます」




新聞配達員は6人。



でも来てるのはまだあたしだけだった。




「相変わらず早いのね、リュウちゃん」



「あたしが一番この仕事遅いですから」




手は止めずに下瀬さんを見て苦笑い。



水分のない手には、この作業はなかなかの苦痛で……。



それに結局あれから寝られなかったから。



進藤と大地と別れてから。




「…………」



「あれ?」



「??」



「今日は凄く顔色が良いわね」



「……そうですか?そうですね」




曖昧に頷く。



それは良く寝て、ご飯もしっかり食べたからだな。




「それに手も。痛くなさそう」




そう言って笑ってくれる下瀬さん。




……手。



作業を止めて自分の手を見る。



数時間前でそんなに効果があるわけはない。



それでも進藤がハンドクリームを塗って、手袋で保護してくれた手は調子が良かった。




「優しい人がハンドクリームを塗ってくれたんです」




自然と笑ってそう答え、また作業を再開する。





「リュウちゃんが笑った……」

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