第56話
腕の中で気を失った桜竜をソッと抱き上げる。
昨日のように咳は出ていないが顔色は悪く、抱き上げた体は軽い……。
栄養と睡眠、どちらもが足りてないのは一目瞭然。
"flower"とコンビニの掛け持ちで働いていて、学校には通ってない様子。
そんなに金が必要なんだろうか……。
なんのために?
俺を頑なに拒むのは……そこに原因が?
"もう会わない"
固く震える声で言われた言葉。
そんなこと聞けるわけがない。
たった半日会えないだけで、会いたくて声が聞きたくて仕方がなかったのに。
桜竜だけを見つめていれば、また開かれる唇。
次は何を言われるかわからなくて、怖くて、キスで唇を塞いだ。
桜竜の唇は少し乾いていてカサカサで……。
潤したくて何度もキスをした。
途中から夢中になってたのは内緒だ。
なぁ桜竜。
なんで一人になろうとする?
何がそんなにお前を傷つけ苦しめてる?
苦しそうに表情を歪めてる桜竜。
絶対に一人になんかさせない。
前髪を払い、深くシワの寄った眉間にキスをする。
悪夢避けの呪いの気持ちで。
さて、これからどうしようか。
"flower"のオーナーはコンビニの事は教えてくれたが、家の住所までは教えてくれなかった……チッ。
桜竜をゆっくり休ませたい。
なら行く場所は1つ。
大事な桜竜を抱えて家へと向かっ……歩いては無理だな。
俺の家はここからは遠い。
ベンチに座り、手が使えるようにしてスマホを取り出す。
そして、1つのボタンを押した。
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