第54話

入ってくるな。



あたしの中に入ってくるな。




あたしには誰も必要ない。




自分の足で立ち、進藤に向き合う。




「桜っっ」



「もうあたしに構わないで」



「桜竜っ!!」




息が苦しい。


心臓が痛い。




「あたしは進藤の気持ちには答えられない」




こんなあたしが、誰かを好きになるなんてことはない。



きっと必ず不幸にする。




あたしは一人でいい。



一人で生きて、一人で死ぬ。




「進藤……」



「ん!?」



「もうあんたとは会わない」



「桜竜っ!!」




疲れた。



もう本当に疲れた。




目が回り視界が霞む。



でもここ気を失うわけにはいかない。



足早に立ち去ろうとした。













けれど




「桜竜っ!!」




ガッと手首を掴まれ引き戻される。



燃える炎のような瞳があたしを見てる。




怒らせたか。



そうだよね、何度も助けてもらったのに、あたしはいつもこんな態度。




どうか一時の気の迷いだったとあたしのことは忘れて欲しい。




「離せ」



「嫌だ」



「離せっっ!!」



「嫌だ」



「進っ」



「絶対離さねぇ」




そう言われまた抱き締められる。



強く強く。




「あたしはっっ」



「言わせねぇ」



「!?」




あんたなんか嫌いだと言おうと開いた口に、進藤は噛みつくようにキスをしてきた。




「進っ」




角度をかえて何度も。




「んっっ」



「桜竜……桜竜」




寝不足と息が出来ないのとで、あたしは意識を手放した。




「桜竜!!」




焦った進藤の声を聞きながら。

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