第45話

今日は暖かいから冷たい飲み物がよく売れた。



家から徒歩20分のコンビニは週4日、朝の7時から夕方の18時までの勤務だ。



バックヤードで飲み物を補充していたら




「ねぇねぇ、リュウちゃん」




36歳パートの先輩、田端さんが物凄く困った顔で話しかけてきた。




桜竜は呼びづらいのでリュウと呼んでもらってる。




「どうしたんですか?」




手は休めず聞くと




「また来てるのよ、アイツら……」



「ハァ……」




アイツらとは、この近くにある高校の生徒達のことだ。



ガラの悪い奴らで、このコンビニの前でたむろするのだ。




そしてコンビニに入る人を野次ったり、出る人に絡んだり。



だから奴らが来るとお客様が全然来なくなる。



警察にも言ってあるが、奴らは来たり来なかったり、時間もまちまちで……見かけたら注意してくれるけど、それも一瞬で……。




「店長は?」




これは1アルバイトに言うより店長に言う案件のはず。




「もちろん言ったわよ?でも雇ってやってるんだからお前が言えって……」




ハァ……。


あの意気地無しの口だけ野郎が。




「それで?」




ならば行けばいいのでは?




「それでって……。注意したら殴られそうじゃない?」



「そうですね」



「私、家族も子供も居るし……。その点リュウちゃんは一人じゃない?」



「そうですね」



「悪いんだけど、行ってくれない?」




申し訳なさそうに言う田端さん。



一人だから、家族が居ないから、あたしは殴られていいのか……。




そうか……。




「わかりました」



「ごめんね」




謝るぐらいなら言わなきゃいいのに。



あたしはそれに答えず、奴らの元へ向かった。






















「ねぇ」

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