第36話
進藤が見えなくなった所で走るのを止める。
調子が悪いせいかすぐに上がった息を整える。
あ……。
ケーキ持ってきちゃったな……。
返すはずだったのに……進藤があんなことを言うから……。
『好きだ』
思い出し心臓がドクッと一際高く鳴る。
そんなはずはない。
だって昨日と今日のどこにあたしを好きになる要素があった?
どこにもない。
思い出すまでもなくキッパリ言える。
むしろ嫌われるような態度しかとっていない。
それが……。
……変態なのか?
……Mなのか?
……わからない。
でも見ていてくれた。
もう当たり前で、誰も褒めてくれることはなくなったのに……褒めてくれた。
それは純粋に嬉しくて、ケーキの箱を抱きしめる。
これは……ご褒美として貰ってもいいかな?
今度会ったら……お礼言わないとな。
その時には進藤の気持ちも冷めてるだろうし、うん。
そんなことを思いつつ家へと急げば……。
もうすぐ家という所で、ギクリと足が止まる。
……ああ。
一気に冷たい現実に引き戻される。
家の前に一人の男が立っていた。
ソイツはあたしを見つけると、咥えていた煙草を捨て足で火を消しニヤリと笑った。
「よう、桜竜」
「…………」
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