第27話

「おうりゅうって、どんな字だ?」




何故そんなことを聞く……。




「…………」



「おうりゅう」



「止めれ、平仮名呼びは」




なんとも間抜けに聞こえるじゃないか。




「じゃあ教えろ」



「…………」




またしてもジーッと見られる。




ハァ……。




「桜に簡単な方の竜で桜竜」



「へぇ」




止めろ、そんなキラキラした瞳で見るな。



あたしはこの名前が嫌いで、自分に一番遠いと思ってるのに。




「うん」




うん?



頷いた進藤が柔らかく微笑むと




「お前って感じがするな」




と宣った。




「っっ」




ふざけるな。



ドスッ!!




「うぉっ!?」




あたしはナイロン袋を進藤に投げつけた。



ケーキの箱はソッと返した。



ケーキに罪はない。




そして店へと向かって歩き出す。



早足で、もう競歩の域で。




突然のあたしの行動にビックリしたのか、進藤が慌てた様子で呼び止めようとする。




「おいっ。桜竜っっ」



「呼ぶなっっ!!」




叫び、進藤を睨む。




「呼ぶな」

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