第25話
昨日のって、アレでしょ?
アレは
「昨日も言ったと思うけど、アレは助けたわけじゃない」
ただ、ただ、疲れてて、正しいことと反対のことをしたかっただけだ。
自分のためにしたことだ。
それにお礼をされても。
「ホラ、それ温かい内に飲めよ」
聞けよ、こら。
ゴミを持って前を歩く男の手を掴む。
冷たい手。
あたしなんかにダウンジャケット貸すから。
「これはあんたが飲むべきだ」
"お礼"を受け取る理由があたしにはないから。
「ゴチャゴチャうるせぇな。それはお前に買ってきたんだからお前が飲め」
あたしに手を取られたまま、男は歩き続けそんな風に言う。
……どうして。
それでも飲まないあたしに男は足を止め、視線を向けてくる。
暗い路地裏に濡れたように光る黒瞳が真っ直ぐあたしに向けられる。
「お前がどう思おうが俺は確かにお前に助けられたんだ」
…………。
ペキッ
あたしはホットレモンの蓋を開けると一口飲んだ。
もうすでに温くなってるけど、ほんのりじんわりと体の中から暖まる。
それを見て、男は柔らかく微笑んだ。
「……お前お前言うな」
「あ?店の中でも言ったが、名前を知らないんだから仕方ねぇだろうが。お前、名前は??」
スタスタとまた男が歩き出す。
あたしはそれに付いていきながら
「人の名前を聞く前に自分が名乗れ」
あたしの言葉に男は少し目を見開き
「……フッ。そうだな」
何故か面白そうに笑い。
「進藤焔だ」
と名乗った。
「進藤焔……ね」
「「…………」」
後は無言で歩くこと数秒。
「俺は名乗ったぞ、お前の番だ」
チッ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます