第4話 聖女だからポーション作らないと(使命感)
「むむ? あのプルプルした物体は!」
青白く、半透明で、大きさは人間の頭部くらい。
前世で培ったゲームの知識も、今世で読んだ本の知識も、あれはスライムだと告げている。
間違いない。
うおおおおっ、捕まえたああああっ、食うぞおおおおっ!
生肉をハンバーグと言い張って完食した私に食えないものはねぇ!
噛みついちゃる!
にゅるんとゼリー状の中身がこぼれ落ちてきた。
飲む! 飲み干す!
甘くて美味しい! カキ氷のシロップみたい! ブルーハワイ!
《スライムから『スキル:保湿』をラーニングしました》
《説明。保湿とは、肌に潤いをもたらすスキルです。任意でオフにしない限り常時発動し続けます》
戦闘の役にはたたないけど、あると嬉しいスキルだ。
任意でオフにできるってことは今はオン?
確かに肌がスベスベになってる。まるでスライムみたいな肌。
ならオフにすると……変化がない。そりゃ、いきなり乾燥したりはしないか。
むしろ保湿を連続で発動するとどうなるんだろう? そういうのはできないのかな?
ものは試しだ。
保湿オン保湿オン保湿オン保湿オン保湿めっちゃオン!
うおおおおお保湿保湿保湿保湿保湿保湿保湿ぅぅぅぅぅっ!
ドバドバドバドバ!
きゃーきゃー。全身から滝みたいに水が出てきた!
ずぶ濡れ。でも、おかげで汚れが流れ落ちた。
《『スキル:保湿』からの派生で『魔法スキル:水魔法』を習得しました》
おお、水魔法。
つまり使うと魔力を消費するのね。
練習したらウォーターカッター的な攻撃魔法になるのかな?
攻撃に使えなくても、水の確保に役立つ。
でも水を出すたびに全身ずぶ濡れは困る。
もっとこう、たとえば手のひらからだけ水を出すってできないのかな。
私は回復魔法を何年も使って生きてきた。魔力のコントロールは身についている。
だから、できるはず。
さっきは全身から水があふれ出た。その感覚を思い出しながら、魔力を手のひらに集中させるイメージを浮かべる。
集中、集中。
「出ました! 私の手が水鉄砲になりました!」
突き出した右の手のひらから、じょぼぼぼぼと水がアーチを描く。
格好つけて水鉄砲と言ったけど、本心では小便小僧みたいだなぁとか思ってたり……。
ええい、気にするな!
これは水鉄砲なんだ。いずれウォーターカッターになるんだ。
前世では手のひらからビーム的なものを出して戦うマンガやアニメを沢山見た。イメージはバッチリだからできるはず。
「前世と言えば……私が読んだラノベに出てくる聖女って、みんなひたすらポーション作ってましたね……」
ポーション作りの達人なのに、周りにその才能を理解してもらえず、実家を追放されたり婚約破棄されたりして、そのあと理解あるイケメンに拾ってもらって幸せになるみたいな物語。
恋愛物にジャンル付けされていたけど、恋愛してるより、作ったポーションの出来映えでチヤホヤされてるシーンのほうが多かった気がする。
私も聖女の端くれ。
ポーション作ってチヤホヤされたい。
ポーションとは、飲めば傷が治る回復薬。
つまり回復魔法と水魔法を合体させたようなもの。
今の私なら作れるのでは……?
もう一度、手のひらから水を出す。その水に回復魔法を込めるイメージ。ただ同時に使用するんじゃない。ちゃんと水の中に定着させるんだ。混ざれ混ざれ……。
《『魔法スキル:回復魔法』と『魔法スキル:水魔法』から派生し『魔法スキル:ポーション精製』を習得しました》
《説明。ポーション精製とは、材料がなくとも魔力のみでポーションを作り出す魔法です。今はまだ初歩的なポーションしか作れませんが、あなたの工夫次第で様々なポーションを作れるようになるでしょう》
凄い!
本当に成功するとは思わなかったよ!
でもこれって本当にポーションなのかなぁ。
針で指の先をチクッと刺して、その傷が治るかどうか確かめるのが手っ取り早い。
しかし、ここには針などなかった。
代わりになるもの……あ、そうだ。防御障壁の形って、ある程度自由にいじれるから、尖らせてプスッとできるんじゃないかな。
防御障壁を普通に出すと、板状になる。それを細く、長く、尖らせる。針状になった、と思う。指で防御障壁を摘まむ。いい感じ。でも見えないから不安だ。色をつけてみよう。形を変えられるんだから色だって変えられるはず。
シルバーになーれ。
「……なった! 誰が見ても針です!」
さっそく指先にプスっ!
いてて。血が滲んでくる。
ポーション精製を発動。右手に液体をためて、ズズッと飲む。
すると針で刺した傷が消えてしまったではないか。
私の手のひらから出ているこれは本物のポーションなんだ。
よーし、あとはポーション作りを披露して、チヤホヤされるターン!
って、披露する相手がいない。
急に人恋しくなってきた。
チヤホヤなんかされなくていいから、誰かに会いたいよぅ。
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