第3話 仕事をするということ

いつもは気が乗らない学校の道をいつもよりも時間も足取りも早く進んでいた

そして、学校に着くなり職員室に行き就職担当の先生のとこに行き


「先生、山小屋の実習ですがすぐにでもやりたいのですが」


唐突の発言にまるでハトが豆鉄砲を食らったような表示をする先生だったが慌てて資料を確認している。


「ええとだな、最短だと3日後からの研修に間に合うがギルドに行くには2日ほどかかるから明日には出ないとダメだぞ?」


「構いません、お願いします」


「しかしだな、正直そんなに早く行かなくても」


「お願いします」


「ふむ、わかったでは手続きをしよう」


正直今が一番良いと思う、

昨日の事もあるから家に居づらいし

後にまわしてもいろいろ考えて

また、悪い癖の自問自答に陥りそうだから

そこに幸せがあるか彼是悩むよりも

その目で見た方が結論も出るし、

諦めもつくだろう。


「よし、手続きはこれで終わりだ」


「無理言ってすみません」


「今 記入にした書類をギルドに提出すれば研修を受けられるはずだ」


「ありがとうございます」


「あと君は獣師だったね」


「はい」


「同伴が許可されているから、申請すれば連れて行けるが」


「でしたら是非お願いします」


「わかった、しかし 本当に君は管理人になるのかい?」


「そうですね、他に選択肢がないですし」


「うむ…なんとかしてあげたいが申し訳ない」


「いえ、これは自分の問題ですから」


そう言って足早に教室を出た、

少し光が見えたらと思ったら人と話していくに内また雲がそれを覆い隠してしまう、

希望が不安で塗りつぶされる感じだ。

もう決めたんだ後戻りはできない、そう言い聞かせて獣師担当教諭にとこへ行き獣の動向許可の手続きを行った。


「ほんとに連れて行くのかい?」


「ええ」


「正直あの子は役には立たないと思うが」


「それでも連れていきたいんです」


「ふむ、そこまで言うならわかった」


 確かに先生には戦闘の役にも立たない最低ランクの獣かもしれないが、

僕にとっては最愛のパートナーなんだ。

ゲージに入れる必要もないので胸のポケットに入れ、野生の獣と区別するために通常はその証をつけるのだが小さすぎて付けれないため代わりの証明書を受けとった。


その後、明日の準備もあるので担任の先生に事情を話して早退することにした、

先生は先ほどの先生と同じように憐れむような言葉をかけて来るが、

もう聞き飽きた。


家に帰ると両親は出かけているようだったので部屋に直行して少しずつ貯めたお小遣いと荷馬車屋の馬小屋 でアルバイトしたお金をかき集めて旅の荷物を揃える為、

宿の近く道具屋に向かった。正直店主は堅物でいつも文句ばかり言ってるけど嘘は言わない人だあの人に頼んで最低限のモノを教えてもらおう。


「おう、ハグレモン何か用か?」


ハグレモンそれはモンスターの中に稀に現れる特殊なモンスター、

それは良い意味じゃなくて例えば早く走れるモンスターの中に鈍足なヤツの事だったり、

巨大なモンスターなのに小さいモンスターとして生まれてしまった個体だ、

刈る側としてみれば弱くて狩り易い個体であり、野生の中では生存率が低い。


「そのですね、山小屋の管理人になることになりまして…明日から研修に行くことになったんです」


「……」


「それで最低限必要な物を揃えたくて、このお金で揃えられるモノを見繕ってもらえませんでしょうか」


「……本気で山小屋の管理人になるのかお前が」


「はい」


それでまでからかうような口調だったもの、突然張り詰めたような空気と思い口調に変わった、まるで何かきつい現実を見せられたと言わんばかりに厳しい顔になった。


「…わかった、ちょっとまってろ」


そういうと店の奥に行ってしまった。

ガチャガチャと何かを漁る音が数分続き奥から布でできた袋を手渡してきた。


「中身を確認していくぞ」


そういうと袋を開けて道具を一つ一つ取り出していく、


「まずはコレだ」


そういって簡易テント、火打石、ナイフなどを一つ一つ丁寧に説明してくれた、

そして最後に僕の目を見て


「いいか、どんな仕事であったとしてもやるからには全霊を込めないといけねえ、生半可なことをすればそれは自分の身に振り返ってくる」


それは商売人の親父さんの信条なのか真剣で熱の籠った言葉だった、


「はい」


「例え山小屋の管理人だとしてもそれを利用する客が居る以上、お前の判断次第では命に関わることだってあるんだ」


「……」


「嫌々やるんじゃねえぞ、やるからにはしっかりやれ」


暫く沈黙が辺りを支配した……


「……正直今は判断つきませんが、研修でそれを判断したいとおもいます」


「はい」といえばそれで済んだのかもしれないでも正直なところ自信がなかった、

親父さんが言う通り僕はお客さんとちゃんとやっていけるんだろうか?その答えは今の自分では判断が出来ない。


「……それで良い、軽はずみに飲み込める内容じゃないからな」


そういって奥の方からなにか透明な小さい四角いガラス板を持ってきて僕に手渡した。


「これはサービスだ、一度しか使えないが魔物の思考を読めるアイテムらしい」


マジックアイテム、高等な魔法使いが作る効果付のアイテムで比較的に高価なモノが多いとてもじゃないけどサービスで貰えるようなものじゃない


「こんな高価なモノ頂けませんよ」


「ガキが遠慮などするな!大人になるガキに俺からの祝いの品だと思って持ってけ」


「ありがとうございます」


「あと、最後の贐の言葉だ 運命は平等じゃない、正義は目標であって現実では無い、そして世の中は理不尽だ」


「その辺りはなんとなくわかります」


「そうだな、お前なら良くわかってるはずだ」


そう、それは一番良くわかってる……

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