第9話

「おかえりなぎ。今日も学校楽しかったか?」





家に帰るといつも涼ちゃんはこの質問をする。





「うん、すごく楽しかったよ」





いかにも本当のように笑って返すのも慣れたものだ。

そして、涼ちゃんはわたしのこの嘘を疑わないからとても楽だ。





本当は少し寂しいけど。





「渚(なぎさ)、お家に友達を連れてきても良いんだからな」




「うん、またそのうち誘ってみるよ」





涼ちゃんは多分わたしが涼ちゃんに気を遣って友達を連れて来ないのだと思ってる。

違うよ涼ちゃん。

わたしには友達がいないだけだよ。




別に友達が出来たことがないわけじゃないの。




でもその友達も全部わたしじゃなくて涼ちゃん目当てでわたしと友達になった子で、わたしが協力しないとわかったらすぐ離れていった。

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