第13話 魔術師の名はムーア
「…王子!!!無事でしたか!!」
テントからふらふらと出てきた俺が、確認できた途端走ってきた
そのあと、俺は肩を貸してもらいながら、小隊が待ってる人たちと合流する
「王子!中から音はしませんでしたが、
そう言いながら、隊長は駆け寄る
「貴様が魔術師だな?!」
俺がふらふらと出ていってる中、後ろからムーアがついてきたのを見て剣を抜く兵士
「はい、王子の身柄を拘束した魔術師です」
それでもムーアは両手を上げて、その場から動かない
「とらえろ!!」
「待て!!!!!!!!」
俺と兵士の声がハモってしまったが
疑うような顔で、兵士達は俺を見る
「その魔術師は、危害を加えないし、俺はただ疲れただけなんだ」
と言いながら「2回」ムーアにまばたきのサインをする
テントから出る前・・・・・
「今回、お前の言ってた魔力が弱い奴のためのご飯は解決できたが…流石に時間が経ちすぎだ」
俺はテント越しに様子を伺う
「で、でも兵士が来ないってことは…私それでもやばいかな…一応、王子に危害加えたから、罰は受けるつもりだよ」
ムーアは、気持ちを伝えるが
「馬鹿…この一回だけでも、食事は毎日取らなきゃいけないだろ?お前の研究が命を救うなら、いい方法がある」
そう、ムーアはサキュバスとのハーフ
チャームの範囲を聞いたら小隊を丸々包めることを利用した作戦の開始の合図
それがまばたき2回すること
チャームが効き始めた兵士が
「そ、そうだよな…王子が言ってるなら、ここで極刑なんて野蛮だよな」
と抜いた剣を
「あくまでも、怪我とかしてなければ…なぁ」
よしよし、曖昧になってきた!
「すまねぇ、俺は腹もへっちまって、飯食っていいか?」
声を上げ、チャームが効いてない兵士でも、わざと混乱するように提案する
「あぁ…しかし魔術師は…」
「大丈夫だ、手出しはしない、気になるなら拘束して隊長の監視下においてくれ」
一人の兵士がムーアの手を、後ろに持ち、手を縛って隊長のとこまで連れて行くる
その間に俺は、収納の魔法が込められた、魔石からシチュー鍋を取り出す
「王子、お疲れなのにそんな、大きい鍋大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫、せっかくだしみんなも食べようぜ」
言い出しっぺの俺は先んじて、食事の準備をし始める
兵士は俺の切り替えの速さに戸惑いもありつつも、ムーアのチャームのおかげで、すぐに食事の準備に取り掛かってくれた
実は、このシチュー…食材は魔界の食材
そのまま人間が食べようものなら、魔力が吸収できず体調不良を起こしてしまう
が、ムーアの実験では、人間が食べてもほぼ無害とのこと
「隊長もどうだ?俺一人だと、シチューを悪くさせそうだしよ」
器もおたまも取り出し、俺はシチューをよそうが。内心、隊長に毒見役を請け負わせる罪悪感もあった。
「よろしいのですか…?ではお言葉に甘えて…」
よそったシチューとを隊長に持たせ、俺は自分もよそって、すぐに飲む
味見は俺がしたので、味に関しては問題ないが、魔力がない一般人はどう感じるのか…
ムーアが見守る中、俺と隊長は食事を続ける
「ん!…アッシュ様!このシチューは……王室の思い出の味では?!」
その言葉に、他の兵士の視線を集める
「ん、ま…まぁー…そんな感じ、かな?みんなも懐かしい味食べてみるか?」
と声をかけたら、いい返事と共にみんな集まる
一人では回らないので、ムーアの拘束を解いてもらい、配膳を手伝ってもらう
口々に、うまい!や、うちのよりうめぇ!の言葉が飛び交うと、ムーアは微笑む
そして俺は、ゴニョゴニョと隊長に耳打ちをする
「みな!ムーアは進んで処罰を受ける!グリーシアに着くまで悪さをしたら即刻我々が処罰をする。だが、その間医術治療を全て引き受けるそうだ!」
食事中でも、はい、了解と聴こえてくる
「大丈夫だったみたいだな」
と、ムーアに俺は耳打ちすると
「そうだね、全部王子のおかげだよ」
うん……みんな食べてるの、俺の…あれが入ったやつなんて、口が裂けても言えない…
また、墓場まで持っていく秘密が増えてしまった
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