第6話 女スパイと二人きりの旅路

激烈な夜…忘れられない思い出を抱え…俺は一夜を共にした彼女とグリーシア王国を出る


宿にあった荷物は、収納や転送に優れた魔石が一緒にあったため、荷物はその魔石が生み出す亜空間にストックした


目的は近くの鉱山街ホーンペインへ


幸いにも月が登る頃には宿に着く距離だし

馬車の御者も、彼女の肩にある布を見て察したのか俺たちに話をふらない


「そういえば、俺はえーっと……なんでホーンペインに行くんだっけ?」


「もう、しっかりしてください、。ホーンペインは鉱山で有名だから、指輪の材料を見に行くんじゃない」

もちろんこれはあくまでそういう形で通す設定だ

しかし、俺は馬車が揺れるたびにわざとらしく「きゃっ」と言いながら抱きついてくる仕草

本当に汚れ仕事をしている人なんだよなぁ……


むむ……と悩むと、昨晩の激しい大人へ近づいた行為が過ぎると

俺の股間がムクムクと違和感をにじませてくる


「しっかりしてください、あなた!」

そういうと、彼女は俺の股間をさりげなく掴む


「ひぇ!!……って、てか……なんで、俺はあなたって「お前の旦那」みたいに言われてるの?」

とヒソヒソという

「やだなぁーアッシュ様、今から行く街には「夫婦」で通そうって、言ったじゃありませんか」

彼女もそっと耳打ちしてくれる


「あっかぁ…そ、そっか、じゃ、じゃあ妻よ…でいいんだな?!」

なんだろう。昨日初めて会ったのに

顔の表情、仕草…全て可愛く見えてしまう…

これがハニートラップ…いや、関係を持ったが故のってことなのか?


「そうそう、ホーンペインにつくまでその調子でお願いしますよ。そうすれば私は王子のことを、あなたや夫として、顔を知ってる人以外、素性がバレることはないでしょう」

と彼女、もとい仮の妻の彼女はいう


「いやいや…あのー、偽名って一応あったほうが」


「……訓練されてないと素がでますよ。つい先日まで王子だったあなたは、まだグリーシアにいることになっているのです」


「今回の任務、表向きでは視察ということになっております」


「表向き……」

ということは別の目的が、グリーシア王国の本命はまた別にあるのか


「はい、本命は人を洗脳する魔石の売買を行っている組織の解明、及び解体です」

魔石…とは魔力がこもっている石のことである

簡単な魔法が使えたり、石に込める魔力の量によって効果が違うらしいが


「ホーンペインは、最近悪い噂を聞きますので、そこで今回、私とあなたで向かうんですよ」


「そうなんだなぁー………」

真面目な話をしているのに俺は頭に入ってこない。

城でふざけてた時でも、倍以上の回数自慰をしてたとしても

こんなことはなかったはずと、ぼんやりと思ってしまう


「おーい。お二人さん、ついたさね」

と御者の方は、ホーンペインの方へ荷台を寄せてる


「ありがとうございます」

そう言いながら、ホーンペインの土を踏む


鉱山の町と知っていても、炭鉱夫や鉱石、魔石類を加工する店は閑古鳥かんこどりが鳴いている

街の雰囲気は、グリーシアの貧民街を連想させる雰囲気に俺は戸惑いを感じた


昔、妹のエリエステルが訪問した時

「お兄様!見て!!ホーンペインの石がとっても綺麗なの!」

と、自慢と土産話を聞かせてくれた印象とはずいぶんかけ離れている


その時は露店で魔石や宝石の加工品が並んでおり

、同じものが一つもなく

街は観光客でごった返し、鉱脈のところでは鉱石を掘る体験ができると……

今のホーンペインには、エリエステルが話していたものは一つもない


俺達はその謎に迫るべく、街へ踏み込んでいく

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