一筋の光が届く頃には
音雲 夏空
第1話
「...さん、七菜さん!」
この言葉を聞いたその頃にはもうここに私はいなかった。
事の発端は2年前。まだ小学生の時だった。私はクラスの中で特別目立つわけでもなければ友達が一人も居ないわけでもなかった。なのに、毎日が憂鬱で仕方なかった。人生には、敵がつきものなのだと、そこで知った。
敵─莉麻って、いう人、いう奴は私の人生を、すべてを台無しにした。こいつがいたから、私の友達は居なくなった。味方なんて居なくなった。学校に行くことがきつくなった。正直、小学生で本気にしてはいけないことは幼いながらに分かっていた。所詮お遊び半分だと。でも、そんなことはなく、お遊びではない、もはや人を殺しに来ているような、そんな殺されかける日々が続いた。
行きたくない、生きたくない。いろんな『いきたくない』が重なってばかりで、もうどうしようもなかった。でもきっとそのうち、中学校に上がれば、
「落ち着くだろう」
と、軽く考えていた私はこのあと馬鹿になる。
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