第一章 嵐の前・・・・

1週間と数日・・・

第1話

あの料亭での惨事から、1週間ちょっと・・・


私はその間、松本家に居候していた。



けれど、居候とは名ばかり・・・


常磐さんに休養宣告をされ、外出許可も出ない日々。

毎日毎日家の中でゴロゴロとしていても、誰も何も言わない・・・

そんな初めて体験する平穏と呼べる日々を

私と闇珠は、この後始める祭りの準備にあてた。



大老・・・お爺様の代役の殆どを、受け持ってくださった圭志様と、

闇珠の代役として動いてくれる、敦也さん。


その上、闇珠のSPとしてサポートしてくれる高堂さんと

黒鉄さんの研修終了まで・・・という期限付きで代役かってでた

谷口さんのおかげで、私がここに居る事は、外に漏れなかった。




但しその間、闇珠側の3人は

ネットと通信によって私と繋がり、情報を逐次交換。


その内容は、全て個人情報やスケジュールのみ。

これから起こす事への情報は流さず、闇の情報のみを流す。

それが通信する条件。


しかしそれ以外の場所で、その内容のやり取りが続いていた。



別に私達が、闇以外の事を知ろうとしなかった訳じゃない。

ネットや無線だと、誰がそのデータをパチるか分からない。

下手に流して、相手にばれる可能性が少しでもあれば、

俺達は直ぐ、そこから手を引く。

今までずっとそういてきた。


だからその危険を考え、敦也に必要のない情報の為だけに、

新しくルートを引く。


それは、青木さんと祐樹のルート。


表の闇珠が現場で仕入れた情報を、高堂さんがまず選別する。

そして、危険な情報のみを青木さんに渡し、

青木さんはそのまま帰宅の途に就く。


その後、飲み友達に会い、飲み会場所の一つで祐樹と会う。

そこでお互い少し、楽しい飲み屋の時間を過ごした後、

2人は別々の帰路につく。

もちろん帰るまでには青木さんから祐樹に、それは渡っていた。

そうすれば誰にも怪しまれず、私・・・闇珠の元に情報が届く。

そんな感じだった。



そうして私は松本家に居ながらにして、手持ちも含めた

全てのルートから、情報収集を行っていた。






そして・・・・常磐さんが定めた、休養最終日の日の夕方。




「よぉ・・・体調はどうだ?」


と圭志様が顔を出し、その後に続き


「失礼いたします、淋さん。


 早すぎるとは思いましたが、明日からの日程のご相談を

 いたしたく、こちらに参りましたが・・・

 体調は、いかがでしょうか?」


と、間崎さんが顔を出した。


『圭志様、間崎さん・・・


 ご心配をおかけして、済みませんでした。


 本日・・・常磐さんから、

 治療終了のお言葉を頂きましたので、

 明日から私も闇珠も、行動可能です』


心配そうな顔をしたままの2人に、私がそう話すと

間崎さんは胸に手を当て、ホーーーッと息を吐き

安堵の表情を見せ、圭志様は


「ヨッシャーーーッ


 これで少し、楽になるぞー」


と、ガッツポーズ付きで叫んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る