第10話

友達の部屋は、ちょっとどころの騒ぎではないほど散らかっていた。服やバッグがあちこちに散乱していて足の踏み場もなかった。



「アイスコーヒー入れるね。部屋のソファー座ってて~」


「あれ?今日は蓮いないの?」


「紫乃が遊びに来るって言ったら速攻で出ていった。そのうち帰ってくるよ。所持金10円だから」


「相変わらずニートか。美羽も大変だね……」



前田まえだ 美羽みわ(23)。同い年で中学時代からの友人だ。すれ違う人が振り返るほどの可愛い顔をしている。


職業はキャバクラ嬢で、イケメンの彼氏、塗木ぬるき れんと2Kのアパートで同棲中。



美羽の彼氏は私の幼馴染みでもあるが、とんでもないクズだ。まともな仕事に就いたことはなく、バイトを始めても3日以内で辞めてしまうから生活費のほとんどは美羽が負担している。



美羽に「誰か紹介して」と執拗に言われ続けた結果、蓮を紹介したが、今でもそのことを後悔している。

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