第10話

界の部屋。


なんだか自分の胸に違和感。


「なんかまた更に貧乳になった気がする…」


「ブーッ!!」


「わー豪快」


「…桃さあ、男となんかあるたびに俺んち来るのいい加減やめれ」


盛大に吹き出したレモンの缶チューハイを拭きながら界が言った。


「なんでよ?」


「おもしろすぎる」


「じゃあいいじゃん」


「てか俺、明日から早番なんだよ」


「あ、そうなんだ。ごめん」



界は大手自動車製造工場で車を組み立てている。

早番、遅番の交代勤務。しかもたまに不規則勤務になる仕事を高校卒業から続けている。


ギリギリまで寝ていたいし終わったら早く帰りたいから。というシンプルイズベストな理由で工場の近くのアパートで一人暮らしをしている。


早番なのに飲みに付き合ってくれたり、ベロベロに酔っ払った私を遅番終わりの界が迎えに来てくれたり。本当に申し訳ない。界は優しい。さすが私の幼なじみ。



「帰るわ」


「おう」



私たちは幼なじみ。


おパンツ見られても、2人きりでいても、何もない。


そう。私たちはただの幼なじみ。


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