第7話
翌日夜。
武藤さんと飲みに行った。
武藤さんはモデル系イケメンでクールでオシャレ。たぶん自分でも相当イケメンだと思ってる。【俺かっこよくね?イケメンだろ?】オーラがすごいのなんの。
私の事、スタイルいいねとかかわいいとかタイプだとか言ってくれて嬉しかった。
でも…
無理だった。
なぜなら…
店員さんに横柄な態度をとっていたからー!!
注文する時は「コレ」とか「アレ」。ちょっと遅いとグチグチ文句言って。提供される時も下げる時も無視。手でシッシッなんてやってたし。「ありがとう」とか「お願いします」とかないの!?お会計の時も無言。なんかあるでしょ。ねえ?
コンビニの店員さんにもそうだった。
学生時代に接客業のバイトをしていたから、店員に偉そうな態度を取る人間いっぱい見てきた。こんな人間にはなりたくないって思ってた。
武藤さんはそういう人間だった。
いや違う。武藤さんは神様だった。「お客様は神様です」って自分で言っちゃうタイプの神様だった。
神様にホテルに誘われたけど丁重にお断りして帰ってきたわ。
なんであんなに偉そうなのよ。どっからくるのよその変な自信。バカみたい。
私、無理。ああいう男。
どうやら私に千年に一度のモテ期がきたようで。
次に私の前に現れたのは尾藤という男。
尾藤さんはスポーツマン系爽やかイケメン。
白いタンクトップが似合いそうな感じ。
好きな食べ物はサラダチキン、好きな飲み物はプロテイン、と言っていた。
絵に書いたような今流行りのマッチョメン。
でも特に何かスポーツをやっているわけではなくただ見せるためだけの筋肉をつけているっていうオチつき。
私の事、かわいいとかタイプだとか言ってくれて嬉しかった。
「スタイルいいよね~!」「モデルみたいでめっちゃかわいい~!」「俺スリムな子が好きなんだ~!」
ってなんと世にも珍しい貧乳好きの絶滅危惧種だったのよ!
でも…
無理だった。
なぜなら…
お行儀がとても悪かったからー!!
お箸の持ち方がひどかった。それじゃ絶対お豆つかめないでしょ!?お魚食べられないでしょ!?ってレベル。
食べ始めたらもっとすごかった。
クッチャクッチャクッチャクッチャ…超ウルトラスーパークチャラーだったのよ!肘ついて食べるしとにかくお行儀が悪かった。見てるだけで一気に食欲減退しちゃった。
尾藤さんはダイエットにもってこいな男だった。
貴重な絶滅危惧種にホテルに誘われたけど丁重にお断りして帰ってきたわ。
なんであんな下品なのよ。
無駄な筋肉つける前にやる事あるじゃない。
いやーでもああいうのは直らない。躾って本当に大事。
私、無理。ああいう男。
私のモテ期は奇跡的にまだ続いていた。
次に私の前に現れたのは加藤という男。
加藤さんは韓国アイドル系イケメン。
長い手足に小さな顔。耳にはピアス。サラサラヘアーに白い肌。下手すりゃ私より美肌かもしれないわ。正直全然タイプじゃないけど見惚れちゃうくらいとにかく美しかった。
私の事、かわいいとか綺麗だとか言ってくれて嬉しかった。
アナタの方が綺麗じゃないのよ!ってツッコんだりして。
「スタイルいいね~」「モデルみたいで素敵~」「僕スリムな子大好き~」
ってなんと貴重な貧乳好きの絶滅危惧種パート2だったのよ!
店員さんに横柄な態度はとらないし、お箸の持ち方も食べ方も綺麗だしクチャラーじゃなかった!
私、ビビっときたの。
加藤さんとの愛が不時着するかもしれないニダ!
「桃子ちゃん」
「はい加藤さん」
「飲みすぎちゃったね。ちょっと休んでいかない?」
加藤さんに誘われてラブなホテルにアンニョンハセヨ~♡
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