第3話
半年付き合った彼氏に
「貧乳だから」
というなんとも如何ともしがたい理由でフラれた私は、その夜よく行く居酒屋『バルチック艦隊』でヤケ酒を飲みベロンベロンに酔い潰れていたらしい。最低だ。
たまたまそこに来たアイツが私を介抱してくれた。
らしい。
アイツというのはあの男。
可憐な乙女の私を死体のように引き摺り、おパンツ丸出しにして、冷たく固い床に直に寝かせて、クッサイ布団を掛けたあの男。
「桃ぉ~」
「……」
「桃ぉ~」
「聞こえてるわ!」
「ねえ桃、今日のパンツ何色?」
「紫!」
「わお!キョーレツ!欲求不満?」
ああ…あの日なぜお洒落なバーに行かなかったのか。もしかしたら色男が傷心の私を優しく慰めてくれたかもしれないのに。
いるのはオヤジばかりで雰囲気もクソもない居酒屋バルチック艦隊になぜ行ってしまったのか…だってピロシキが美味しいんだもん…習慣って怖い…アル中にはなりたくない…。
私のおパンツを丸出しにしたのは他でもないこの男。
佐藤界。
私はこの男を3歳の頃から知っている。
そう、幼なじみ。所謂、幼なじみ。ただの幼なじみ。
今更おパンツのひとつやふたつ、幼なじみの界に見られたってなんてことない。
もしかしたら裸で一晩過ごしたって界となら何もないかもしれない。
いや、ないわ。断言できる。
「淋しくなったらいつでも俺んとこ来いよ」
「……」
「慰めてやるから」
「……」
「その小ぶりなパイオツも」
「ちょっとタンマ!」
「なんだよ」
「ヤッてないよね?」
「意外と耳が弱いんだな桃は」
「ヤッてないわよね!?」
界はなんで私のパイオツが小ぶりな事と耳が弱い事知ってんのよ!?
「ん~どうでしょう」
「長嶋茂雄」
「それでもボクはやってない」
「その映画後味悪かった」
「俺が桃とヤルわけねーだろが」
「だよね」
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