電脳特殊捜査隊

最悪な贈り物@萌えを求めて勉強中

電脳特殊捜査隊 ハリボテの感情

カタン…カタン…


水がコンクリートに染みた、少しカビ臭い。


月明かりがガラスの破れた窓から差し込む。


男はスーツを纏い、左手にはブリーフケース。


そして、ある倉庫へと赴いた。


腕時計の針が、カチ…カチ…と、音を鳴らした。


目の前には、2人の大柄な男と、1人の小太りの男。


「さあ、始めようか!!!」


小太りの男が言った。


スーツの男は、左手に持っていたブリーフケースを開け、中に敷き詰められた一つの「MER」と刻まれたワクチンを差し出す。


「頼まれていたものだ。しっかりと報酬は受け取らせてもらうぞ。」


「わかっておるよ!」


小太りの男が、大柄の男に顎先で支持すると、大柄の男は、後ろから銀色のブリーフケースをスーツ男に差し出す。


「ご苦労。」


パリィィィン!!!!!!!


すると、暗い倉庫の中に一つの甲高い音が響いた。


「誰だ!?」


「月明かりに照らされ、割れたガラスの表面が反射して眩しく光る。そして、その床の上。そこに立っていたのは__」


1人の男。


「敵か!!!!!!」


スーツ男は右手をスーツの中に突っ込み、拳銃を取り出した。


「誰だ!!!!」


俺は、ニヤっと不敵な笑みを浮かべ、頭にかぶっていたハット帽を投げ飛ばす。


「ユミー…それが俺に与えられた名前だ。」


「くっ!!!!!死ねえぇえぇぇ!!!!!!」

俺は、左腕につけている腕時計を起動。


右手の指先を腕時計にちょこんと触れさせると、腕時計の画面ディスプレイから、水色のピクセル状の光が溢れ出る。


そして、そのピクセル状の光は俺の拳の中に集まると、それは、銃の形へと変形し、光を散らして、灰色の鉄が現れた。


バアン!!!!バアン!!!!!!

先に引き金を引いたのは、スーツ男の銃だった。


しかし、その弾丸は、俺に当たるどころか、俺の頭の横の空間を撃ち抜いていくだけ。


「どうした?そんなものか?」


「な、なぜ!?なぜ当たらない!?」


カチ!カチ!


スーツ男の引き金から音がした。

「た、弾切れッ!?」


俺は小さな短機関銃の銃口を向けながら、一歩一歩ずつ下がっていく男へと攻め寄る。


「だ、弾丸!!!!」


スーツ男は、新たな弾丸を詰め込めようとするが、俺は、それを見逃さず、手のひらに握られていた弾丸を撃ち抜き、弾き飛ばす。


「いでぇ!!!!!!」


「どうだ?俺の腕前は。」

一歩一歩。

俺は着実にスーツ男に近づく。


「お、お前らは勝手にやってろ!!!!」


すると、小太りの男と、その取り巻き達が倉庫の扉から逃げて行った。


「おい!!!待て!!!!」


俺は、スーツ男に信じられてない奴めと思うと、銃口を男に向けた。

「ひっ!?」


「さぁ、ここからがハイライトだ!!!!!なんちゃって。」

俺は、姿勢を低くして、片手に持っている銃を抱え、回転を加えて、後ろ蹴りをスーツ男のこめかみへに打ち込んだ。


「がはっ!!!!!!!!」


すると、男は頭を中心として体を弾かれ、3mほど吹き飛んだ後、地面に倒れ込んだ。


「よし!そんじゃ、行きましょか〜!」


__________________________________________________


「逃げ切れたか!?」


「おそらく。」


高速道路を駆け抜ける車。

その中には先程の小太りの男が居た。


「はぁ…結局…なんだったんだ…あいつは…」


「おそらくですが…殺し屋…などでは無いでしょうか?」


「まあ…可能性はあるか…」


パキュン!


「ん?今辺な音がしなかったか?」


「そんなはずは…」


パキュン!


キュウウウウウウ!!!!!!!!


「な、なんだ!?」


「は、ハンドルが!!!!!」


ブォォォォォォ!!!!!!!


「んな!?」


「命中ぅ…」


俺は、俺の愛銃、クリスベクターを片手にバイクを乗り回し、50mほど後ろから車の後輪二つに命中させる。


「追い詰める!!!!!」


俺は、さらにバイクのハンドルを回し、エンジンをフル回転。

そして、ハンドルについている赤いボタンをカチっと押す。


さあ、これはなんのボタンだろうか?


ブォォォォォォ!!!!!!!!


「答えはニトロだ!!!!!!!」


マフラーの後輪へと伸びる横あたりに取り付けられたニトロが火を吹き、推進力によって、爆発的なエネルギーをもたらす。


「ヒャッフー!!!!!!」


「おい!!!あいつ!!!!!追いつかれるぞ!!!!!!」


「は、ハンドルが!!!!!」


キュイイイイイ!!!!!!!


次の瞬間。


後輪二つに穴を開けられた車はバランスを崩し、高速道路の壁へと衝突。

高速道路のコンクリートを少し破壊しながら、車は止まった。


それも、フロントは崩壊気味で。


「おっと?流石に死んじゃったかー?」


「勝手に殺すな。」


すると、その大破した車の後部座席から先程の小太りの男が出てきた。


俺は、バイクを止め降りると、その小太りの頭から血を流している男が、胸から、拳銃。

マカロフ拳銃を取り出す。


そして、それを俺に向かって投げ、俺はそれを受け取る。


「こうなったら決闘だ。今から俺が500円玉を投げる。音がなったら、決闘開始だ。良いな?」


俺は鼻で笑う。


「まあ、いいぜ?ズルはなしだぞ?」


「男と男の決着だ。そんな外道はしねぇ。」


すると、小太りの男は、ポケットから出した小銭を前に向かって投げた。


コインは宙を舞い、夜空を舞い、月の中を舞う。


そして、重力に忠実に沿って、真下へと落ちる。


チリン。

バン!!!!!


夜空に銃声が響く。


「どうした?弾が来ないぞ?」


「んな!?う、撃ったはず!!!!それも確実に!!!!」


「俺には当っちゃいねぇ。決闘なんだろ?」


バン!!!!


「続きだ。」


俺の撃った弾が、男に突き刺さる。


心臓から、血が滲みだした。


「ぐはっ!!!」


「これで終わりだな…」


俺は、その中年男に背を向けて、バイクへと向かう。

が、「ふふ…」と笑い声が男から漏れたのが聞こえた。


「何…?」


踵を返すと、そこには、肌に開いている穴がどんどんと埋まっていく男の立ち姿。


「先に手に入れた能力は高速再生…俺は決闘で勝つ自信があった…負けたとしても、死なない…」


「お前…」


「さあ!!!続きだ!!!!!」


俺は、腕時計からピクセル状に変換していたクリスベクターを取り出す。

右手で持ち、俺は、男に向かって、引き金を引く。


「ぐは!!!!ぐはっ!!!!!いてぇ…が!!!それまでだ!!!!!」


男は、大破した車へと飛び込む。


「なんだ?」


と、次の瞬間、車の後ろのリアガラス越しに弾丸が放たれた。

ドララララララ!!!!!!!!!


「んな!?」


俺は思わず、口から言葉が出てしまう。


リアガラスの向こう…室内には、先程の中年男がよくは見えないが、機関銃のようなものを備えている。


「ダハハハ!!!!!お前を殺したら、そのバイクで家まで返すとするよ!!!!!」


俺は、ため息を吐いた。


「そんな物だけで俺を殺せるわけねぇだろ…」


俺は、次の弾丸の雨が降ってくる前に、車へと向かって走り出し、兎のように、車の真上をジャンプ。


「消えた!?」


中年男が驚いたことを境に俺は、毎分1200発連射力を誇るクリスベクターの弾丸を車の天井を突き破って蜂の巣にする。


「空中で一回転すると、男は車のすぐ後ろに着地。真後ろでは、蜂の巣へと変えられた男の死体が…再生能力を用いても、クリスベクターの連射力には敵わなかったようだ…」


そして、次の瞬間。

クリスベクターように俺が作成した特別な弾丸。

「火付け役」が作動し、後ろの大破した車を派手に爆発させた。


「炎の中には1人の男。それこそが、電脳特殊捜査隊第六課…ユミーだった!!!!!イェイ」


俺は誰もいない空虚の空間に決めポーズを披露すると、車の周りを歩いてバイクの位置に移動。


バイクに乗り込み、高速道路を走り出す。


「アデュ〜」


あーあ…

また殺しちゃったよ…


俺は、高速道路の上で手を見る。

こうやってニンゲンもどきがニンゲンみたいに生活してるなんてなぁ…


気持ち悪りぃ…




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